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広島市中区の郵便貯金ホールで劇団四季ミュージカル「キャッツ」が、11月24日までロングラン公演を続けている。振り付けを担当した加藤敬二と、猫になって舞台を駆け巡っている2人の俳優の横顔や意気込みを紹介する。 | ||||
(中) 俳優 服部良子 (下) 俳優 福井晶一 CATS TOP |
「俳優を猫に」求道者
身を削って客の心打つ
四季の「キャッツ」公演は15年目の1998年、野生の猫を前面に出すよう踊りを大幅に手直しした。浅利慶太芸術総監督から持ちかけられ、その大役を引き受けた。 「猫は笑わない。目線も低い。地面をはい回り、怒ったらつめも立てるし、威嚇もする」。背中を丸めるのではなく腰を折ることで猫背をつくり、床を滑って猫のスピード感を出す。表情や猫の細かな動きにも気を配った。俳優の負担は大きくなったが、猫らしさは増した。 「キャッツ」との出合いは、ダンサーでありマジシャンのアシスタントとして活躍していた83年。ハワイのマジック大会の帰りに立ち寄った米NYのブロードウェーの舞台だった。中でも引かれたのは、マジックとダンスの両方をするマジシャン猫。「まるで僕じゃないかと思ったんです」 帰国すると、偶然にも四季が「キャッツ」の上演を始め劇団員を募集していた。84年2月に入団。5月にマジシャン猫として舞台に立ち、たちまちトップダンサーに登りつめた。そのダンスのセンスを買われ、5年後には振り付けもするようになる。 現在は横浜市にあるけいこ場で、他の演目も含め、振り付け指導が中心だ。全体を見渡しながら、俳優の動きの良い部分を膨らませ、悪いと思えばやめさせる。今回の広島公演のように、幕が開くたびに公演地に出向き、劇場の雰囲気も考えながら俳優の動きを最終チェックする。 手取り足取りの指導はしないが、指摘は細かい。「ロングランの宿命というか、舞台が長くなるにつれ、猫らしさが失われそうになる。それに歯止めをかけるのです」。リメークを繰り返すのは、作品が持つ深い意味を俳優の心に刻み込んでほしいという思いもある。 「キャッツ」は進化し続け、完成のない舞台だという。「どこまでやってもやり足りない。細かく振り付けし、俳優が猫そのものにならないと『キャッツ』という作品に負けてしまうんです」。厳しい指導もするが、俳優仲間からは「敬二さん」と呼ばれ、慕われている。 「キャッツ」は、四季の演目の中で最も動きが激しい。それに「生きる」という大きなテーマがある。「中途半端な気持ちでは何も伝わらない。青あざをつくって身を削ってこそ、お客さんの心を打つものになる。結局はお客さんの拍手でそれまでの練習の苦しさは吹っ飛んでしまうのですから」。優しい表情の奥に、求道者のような役者魂を見た。 2003.8.31
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