第10回広島県大学フォーラム ~国際化視野に実践教育~

講演第2部 広島県の『人づくり』について

広島県知事
湯崎英彦氏

産学官連携で育成を

石川憲一さん

ゆざき・ひでひこ 1990年東京大法学部を卒業。同年通産省に入省、95年スタンフォード大経営学修士(MBA)を取得。2000年に通産省退官、アッカ・ネットワークスを設立し、代表取締役副社長に就任。08年同社退任。09年11月から現職。

 「広島に生まれ、育ち、住み、働いて良かったと心から思える広島県の実現」を基本理念とし、今後10年間の取り組みの方向や戦略を示した「ひろしま未来チャレンジビジョン」を2010年10月に策定した。

 おおむね10年後を展望した場合、踏まえるべき重要な変化としては、人口減少・少子高齢化と経済活動におけるグローバル化の更なる進展が挙げられる。広島県の人口は約290万人から240万人に減少すると予測され、かつて経験したことのない大きな環境変化が進む「時代の転換点」といえるだろう。

 したがって、これまでの取り組みの延長線上ではなく、リスクや失敗を恐れず改革に取り組むことが必要。当面はあらゆる分野の力の源泉となる「人づくり」と「経済成長」を二大目標に掲げ、取り組みを進めていく。

海外交流進め感覚磨く

 人づくり主要事業の教育領域では、県立学校海外交流推進事業や、広島県科学オリンピックの開催などを計画・実施している。海外交流は、全ての県立高校が海外の学校と姉妹校提携を締結。各校1人以上の留学経験を目指している。このほか、県内企業の優秀な人材を年間30人から80人ほど国内外の企業などに派遣する事業もある。

 社会参画の領域では性別や年齢に関わらず、活躍できる職場環境の整備を目指す。特に仕事と子育てを両立するための取り組みを支援し、男性の育児休業取得の促進や事業内保育施設への助成を実施している。県に人が集まり定着する環境整備も進めている。大学間連携の推進や留学生受入・定着倍増促進事業を実施。県内大学の魅力向上を図り、海外からの留学生数と県内就職者の倍増を目指す。

人口社会減の対策急務

 今後の人づくりの重点施策は、広島県の現状および課題から大きく三つの方向を考えている。

 一つは「人口社会減に歯止めをかける対策の実施」だ。近年、人口の自然減と社会減がダブルで進行している。特に顕著な高校卒業時の就学と、大学卒業時の就職による若年層の転出超過を食い止めたい。二つ目は「グローバル感覚を持った人材の育成と確保」である。県内企業の経営課題として、人材育成を挙げる企業は多い。中でも海外展開を考えている会社は、世界に目を向けた人づくりに興味を持っている。三つ目は、「女性の社会参画の促進」だ。女性の有職率は出産を機に極端に落ち込んでおり、復職してもパート勤務が大多数である。生産年齢人口は20年後に2割減少すると予測されている中、女性の労働力率をアメリカ水準まで上げれば、広島県の労働力人口は約6万5千人増加すると見込まれる。

 これら人づくりの取り組みには行政と大学、企業の産学官の連携が必要だ。意見交換しながら同じ目標に向かって、それぞれの役割を果たしていかなければ達成できない。教育機関として鍵を握る大学には、大いに期待している。