広島―中日最終戦(中日14勝13敗、6時20分、広島、一万五千)
中 日000001000―1 カープ000000000―0
●…広島に1点が重くのしかかった。
先発ミンチーは立ち上がりから球の走りが良く、五回まで1安打 に締める完ぺきな投球を披露。しかし、六回に落とし穴があった。 先頭の李に中前打を許すと犠打で一死二塁とされ、続く立浪に中前 適時打。いずれも甘く入った初球を狙われた。八回まで無四球、4 安打に抑えただけに痛い失点になった。
打線は門倉の変化球攻めにてこずった。四回に二死満塁、五回は 無死二塁の好機を逃すなど、全体的に振りも鈍く、三者凡退の繰り 返し。わずか4安打で零封を喫した。
広島は、対中日の四年ぶりの負け越しが決まった。(木村雅)
【写真説明】八回裏、広島二死、プロ野球現役最後の打席は二ゴロに終わり、ファンの声援にこたえる
一九七○年代後半から八○年代にかけて、広島の黄金時代に少年 期を送ったファンから便りが届いた。その言わんとするところは初 V以来の黄金期に、虚無的になりがちな少年は、選手のプレーから さまざまなことを教えられた。勝つことへのあくなき執念、勝つた めに選手は何をすべきかを考え抜き、多くの重圧と戦いながら目的 を実現する。その姿に生きることへの勇気を与えられた、とある。
さらに、人間(選手)は苦境にあればあるほどそれを乗り越えよ うと個性が表れる。ファンはその姿に自分をダブらせて応援する、 とも書いている。
ところが大学への進学から広島を離れ、十五年ぶりに帰ってじっ くり試合を見て、がく然とした。内容を要約すると、質の低下のひ どさ。これは戦力以前の問題とし、チームに勢いのある時や選手の 調子が良い時はともかく、少しリズムが狂うと重圧で身動きが取れ なくなるのが素人にもわかる、と記されていた。
言われるように今のチームには危機感がある。球団はこの現実と ファンの思いをどのように捕らえるのか。奇しくも黄金期を支えた 大野が先日、その一翼を担った正田がこの夜、ともに現役を去っ た。コーチとして再出発する二人は、そうした問題点を十分に踏ま えた上で、これからの仕事に当たってほしいものである。(中村忠 雄)
正田の顔に曇りなし
左翼席後方で咲いては消えいく花火が、完全燃焼しユニホームを 脱ぐ正田の姿にだぶって見えた。「やり残したことはない。燃え尽 きてグラウンドを去る自分を幸せな男だと思う」。別れの涙はどこ にもない。大野と肩を組み、花火を見つめる正田の顔に、一点の曇 りもなかった。
八回裏、二死走者なし。いつもより大きな正田コールが、現役最 後の打席であること知らせていた。「最後は左打席に立ちたい」。 両打ちに転向し、苦労し続けた打席で投球を待つ。勝負は早かっ た。初球の速球を打ち損じ、二塁ゴロ。アウトのコールを確認し、 正田は静かにヘルメットを取った。「あの連中ともう野球ができな いなと」。小雨が落ちる空を見上げた。
「派手でなくてもいい。一流のわき役、そんな選手になりたい 」。思いのすべてが、マウンドで声になった。「小さな体を補うた めに何をすべきか。その答えは、人に負けないくらいの練習と努力 でした」。泥だらけのユニホームが築き上げた十四年間。それが、 正田の言う「誇り」のすべてだった。
「野球への熱い思いは消えていない。これからは指導者として、 強い広島、魅力あるカープを築きあげたいと思います」。燃え尽き た小さな大打者。しかしこの日、「コーチ正田」の新たな炎が明る い光を放ち始めた。(小西晶)
◎セ・リーグ勝敗表(第27節・29日現在) 試 勝 敗 引 勝 残試 合 数 数 分 率 差 り合 @横 浜 124 74 49 1 .602 12 A中 日 126 70 55 1 .560 5.0 10 B巨 人 132 72 60 0 .545 1.5 3 Cヤクル 127 61 66 0 .480 8.5 8 D広 島 129 56 73 0 .434 6.0 6 E阪 神 128 49 79 0 .383 6.5 7



