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コイ一筋、駆け抜けた 緒方引退 '09/10/2

 ▽23年、全力プレー貫く

 広島の緒方孝市外野手兼コーチが1日、引退を表明した。在籍23年は衣笠祥雄氏に並ぶ球団最長。「走ること、守ることができなくなった」。カープ一筋の男は、走攻守すべてを重視する野球観を最後まで貫き、ユニホームを脱ぐ。

 高橋慶彦氏にあこがれて入団した1987年春、誓った。「足で一番になる」。宣言通り、95年から3年連続の盗塁王。だから今、俊足ぞろいの若手選手を見て思う。「才能はすごいが、嫉妬(しっと)までは感じない」

 強烈な自負心は練習時の姿が示している。代打専門の今季でさえノック、走塁は必ず全力で挑んだ。スタッフは「練習は抑えめに…」と勧めたが、耳を貸さない。自身の身体能力への誇り。それが支えのすべてだった。

 しかし、40歳の今季。プロは甘くなかった。打撃が低迷。右ひじなど故障歴のある個所は「練習でも不安だった」。9月18日、腰痛を訴え、出場選手登録を抹消された。「もう勝ちに貢献できない」。戻らない体の切れが、引き際を自覚させた。

 球歴を見れば、二つの顔がある。97年までは俊足が武器。だが、98年に右足首をねんざし、長距離打者への転換を余儀なくされた。打撃改造に取り組み、99年に36本塁打したのはセンスのたまものだ。以来、赤ヘル打線の中核にいる男は、強い時代を知る数少ない選手として、新球場でも最大級の声援を受ける。

 大観衆が待つラストゲームは10日、巨人戦に決まった。「引退試合にならなくていい。その日がクライマックスシリーズ進出を決める大事な試合になれば、出番はなくてもいい」。散る間際も、緒方の生きざまは変わらない。

 ▽監督・選手ら惜しむ声

 緒方の引退表明を、ブラウン監督たちはさまざまな思いで受け止めた。

 現役時代から付き合いのある指揮官は「私が選手のころはすべての能力を備えた選手で、監督として戻ってきても心強い存在だった」。遠征中の出場選手登録については「腰の状態を含め、本人と話し合って決める」と述べた。東出は「背中で引っ張ってくれる人だった。最近はあちこち痛そうにして、体が思うようにいかなかったのでしょう」とおもんばかった。

 本拠地での今季最終戦となる10日の巨人戦で引退セレモニーを行う球団は、来場者に「私たちは忘れない」と書かれたボードを配布するなど準備を進める。松田オーナーは「走攻守三拍子そろった自慢の選手だった。まだ十二分にやれると思うが、本人の意思だから」と残念がっていた。(五反田康彦)

【写真説明】引退を表明した後、首都圏への遠征に向かう緒方=JR広島駅(撮影・室井靖司)




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