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一九八七年、170センチの小柄な男が球史を塗り替えた。打率 3割3分3厘。スイッチヒッターとして日本プロ球界初の首位打 者、翌八八年にも3割4分で同じタイトルを獲得。二度の首位打者 は、あのミスター赤ヘル、山本浩二でさえできなかった球団史上初 めての快挙でもあった。 これほど急成長を遂げた選手も珍しい。即戦力と期待されなが ら、一年目は1割8分。プロのスピードに付いていくのが精いっぱ いだった選手が、三年後には早くも球界の頂点に立ったのである。 本をただせば、「右打ちだけではしんどい」とプロの世界で生き抜 くために、一から始めた左右打ち。チーム内に高橋慶彦、山崎隆造 という格好のお手本がいたからこそ、何の憂いもなく取り組めた。 その小さな体を輪切りにすれば、「根性」「がむしゃら」「ひた むき」といった文字が浮かび上がるほどの男である。何事にも全力 投球。試合は無論のこと、練習も手抜きなし。バットを振りすぎて 右手首を痛めながら、試合に出続けたこともあった。茨城県土浦市 の坂本祐樹さんは、「渋い打撃、守備はカープになくてはならない 存在だった。大下、古葉より成績も安定」と高く評価する。 正田が目指したのは「勝利に結び付くつなぎ役」だった。それが 実ったのが九一年。初めて全試合に出場し、二番打者として、五年 ぶりの優勝をチームにもたらした。「広島野球の体現者」と言う千 葉県船橋市の河口武郎さんに、異論を唱えるファンはいないだろ う。 「いぶし銀の苦労人」。東京都在住の猪俣裕司さんは敬意をこめ てこう呼ぶ。首位打者のほか盗塁王、ベストナイン2度、ゴールデ ングラブ5度も受賞した名わき役は、ファンの心にしっかりとイン プットされている。 ●手抜きしなかった 正田耕三氏の話 ありがたいことですね。ファンの前で手抜きだ けはしたくなかった。一生懸命やってきたことを、しっかり見てい てくれたファンに感謝したい。カープの若手選手には、大好きな野 球にいつでも全力でぶつかり、感動を与える選手になってほしい。 |
【二塁手】 16人 (1)正田 耕三 262 (2)大下 剛史 46 (3)三村 敏之 32 (4)山崎 隆造 14 (5)古葉 竹識 13 (6)金山 次郎 8 (7)小坂 佳隆 5 (7)木下 富雄 5 (7)木村 拓也 5 (10)緒方 孝市 4 2票 高橋慶彦、アイルランド、野村謙二郎▽1票 阿南準郎、兵動秀治、東出輝裕
【投手】 【捕手】 【一塁手】 【三塁手】 【遊撃手】
【外野手1】 【外野手2】 【外野手3】 【監督】