▽120医療機関対象 「たらい回し」防ぐ
広島県は、救急隊員が携帯電話でインターネットに接続するなどし、複数の医療機関に一斉に患者の受け入れを要請するシステムを導入した。搬送先選定の時間を短縮し、社会問題化している患者の「たらい回し」を防ぐのが狙いで、中国地方五県では初の試み。県は「全国でも例がないのではないか」としている。
システムは八月から本格運用を始めた。現時点では県内に十四ある消防局・本部のうち、広島市消防局(広島市)福山地区消防組合消防局(福山市)東広島市消防局(東広島市)備北地区消防組合消防本部(三次市)の四局・本部が参加している。
一方、患者の受け入れ要請対象は、県内五カ所の救命救急センター、一部の救急病院、二次救急医療圏ごとに市町が運営している「病院群輪番制病院」に参加する病院など計百二十の医療機関となっている。
システムは、患者の搬送先が従来の電話による依頼ではなかなか決まらない場合を想定。救急隊員は携帯電話でシステムのホームページ画面を表示し、診療科などを選択したうえで、現在地や患者の詳しい状態を肉声で吹き込んで送信する。
すると、条件に合うエリア内のすべての医療機関が専用パソコンで受信。アラームが鳴り、付属スピーカーから救急隊員の音声が流れる。
医師らは受け入れの相談に応じるか、受け入れないかを画面上で選択して送信。救急隊員は、携帯電話画面に表示された病院に確認の電話をして患者を搬送する―という仕組みだ。
各消防局・本部によると、現場での活用例はこれまで広島市消防局の五回だけ。いずれも病院との電話相談などの結果、搬送につながったケースはまだないものの、県福祉保健部は「救急出動が多い地域を中心に、素早い搬送先の選定に役立てたい」と期待する。医療機関側にアラームに気付きやすい場所へのパソコン設置などを要請する方針だ。
広島県は、医療情報をインターネットや電話で県民に提供する「救急医療Net」を構築。その運営費(本年度約七千百万円)の一部で今回の一斉要請システムを整備した。(渕上健太)
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