広島大病院長で、同大大学院の越智光夫教授(57)の研究グループが、2010年度文部科学大臣表彰の科学技術賞(科学技術振興部門)を受けた。軟骨を再生する先駆的な技術を開発し、企業と連携して再生医療の産業化の基盤をつくった点が評価された。
軟骨は血液が流れておらず、欠損すると自然に再生できない。越智教授は1996年、欠損部にゼリー状の培養細胞を埋め込む技術を世界で初めて開発した。この「3次元培養」は、約110例の臨床試験のうち93%で成功。軟骨の再生技術として国際的に高い評価を得た。
99年には、実用化に向けてジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC、愛知県蒲郡市)と提携。安全性のチェックを重ね、同社は昨年8月、培養軟骨の製造販売承認を厚生労働省に申請した。
次世代の医療として注目される再生医療は、米国や韓国が先行。安全性を最優先する日本は、個々の研究は進んでも実用化は遅れている。厚労省の承認を受けると、他企業の参入を促し、市場を活発化すると期待されている。
越智教授は7日、広島市南区の広島大霞キャンパスで会見を開き、「14年前の技術がようやく産業化の一歩手前まで来た。今後も第2、第3の技術を確立できるよう、研究を進めたい」と述べた。(藤村潤平)
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