眼前は海、日本式サウナの「石風呂」 |
| '98/2/13 |
竹原市忠海床浦一丁目
木の扉を開け、岩肌をくり抜いた洞くつのような空間に入ると、 そこはまさに日本式のサウナだ。入浴風景を撮るため持ち込んだカ メラは、湿った熱気で一瞬にして曇り、体じゅうから汗が吹き出し た。
大久野島や大三島など芸予の島々が目前に広がる海沿い。波が寄 せる山すそに石風呂はある。浴室は室温が九〇―六〇度の「あつい 方」と、六〇〜四〇度の「ぬるい方」の二つ。ともに八畳ほどの広 さで、洗い場や横穴で通じる休憩室も備える。
石風呂の準備は午前八時半から。経営する旅館岩乃屋の主人稲村
喬司さん(56)があつい方の浴室で、雑木の枝木を燃やして暖めた
後、海水でぬらしたむしろ、乾燥させたアマモを敷き詰める。ぬる
い方とは通風口で結ばれ、約三時間かけて同時に温めていく。
浴室は潮の香りがいっぱいで、地元の常連・二木末治さん(70)は 「健康の秘けつじゃけえ」。広島や呉市、島しょ部からの客も多 く、一日に三十人ほどが訪れる。混浴のため、入浴には水着などが 必要だ。
現在の石風呂は一九五〇(昭和二十五)年、喬司さんの父芳太郎 さん(故人)が、旧陸軍が掘った穴を使って始めた。かつて瀬戸内 の各地にあった石風呂も次々と消える中、喬司さんは「私の代で閉 めることになりそうじゃが、できる限り続けたい」。
<メモ>JR忠海駅から徒歩15分。営業は午前11時半―午後9 時。入浴料は大人1200円だが、午後4時以降は100円引き。 前日の余熱を利用した午前5時半―午前7時も100円引きで入浴 可。休みは年末・年始と毎週月曜、第3日曜。予約制で食事、宿泊 も。問い合わせは、電話0846(26)0719。
【写真説明】(右)海沿いにある石風呂。夏場には海につかり、体を冷やす利用客
も (左)浴室内でくつろぐ利用客。すぐに体中から汗がしたたり落ち
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