中国新聞社

'98/5/3

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マツダの風 がらり変化 組織の運営 −駐在員移籍
phto
MNAOで法務を担当する浜田さん。仕事内容は大きく変化した
(カリフォルニア州アーバイン市)

自己申告制 情報も共有

 マツダ・ノースアメリカン・オペレーションズ(MNAO)で、契約や訴訟など法務を担当する浜田昌子さん(31)は、米国に駐在して三年目になる。米国内の子会社四社が統合されたのに伴い昨年十月、北米自動車部品卸売会社(MANA)から移った。「統合後、仕事の取り組み方は、がらりと変わりました」

◇ ◆

 「ハマダさん、ちょっと…」。MNAO法務部門長のティム・コンリーさん(51)が、ガラス張りの自室へ浜田さんを招き入れる。「販売店関係の法務も経験したいんですが」。訴訟や契約など幅広い法律知識が要求されるが、「いい経験になるよ」。コンリーさんは即断即決でOKした。

 フォード流の組織運営が浸透するMNAOは、社員に最低限の担当を割り当てるにとどめ、自己申告で希望の仕事にあたる。社長、幹部とも日本人だったMANAでは、仕事をすべて上司が指示した。「今は自分でアピールしないと、やりたい仕事はできないし、評価されません」。浜田さんは、MNAOは米国企業になったとしみじみ思う。  人事評価も様変わりしている。「米国人従業員は自己採点し、理詰めで評価が上がるよう主張する。私はそういう手法に慣れていなかったし、得意でなかった」と元MANA社長で現MNAO副社長の広瀬裕さん(58)が振り返る。MANAでは上司が部下を評価した。が、今は従業員自身で年間目標を設定して書類を提出。上司との面談で到達度を評価する方式が採用されている。

◇ ◆

 浜田さんは「法律知識を磨きたい」と米国勤務を希望し、一九九六年に赴任した。今の仕事の六割は、交通事故の際の製造物責任法(PL法)に基づく訴訟への対応である。

 「ハンドル素材で手がかぶれた」「エアバッグが開いてペットの犬がけがをした」…。そんな理由の損害賠償請求訴訟が一週間に三―四件はある。訴訟に加え、MANA時代からの部品メーカーとの契約交渉も引き続き担当する。仕事量は二倍に増え、MANAでほとんどなかった残業も毎日二―三時間こなす。「合理化の影響でしょうか」と浜田さんはつぶやく。

 フォード流は合理化や仕事の進め方にとどまらない。月一回、部門を超えたミーティングを開き、他部門の情報を共有する。「社員が同じ情報を持てば、目標に向かって進む力が結集できます」。リチャード・ビーティー社長(43)は強調する。コンリーさんも、浜田さんの販売店設立会議への参加を実現してくれた。

 「自分の仕事と役割が理解しやすくなりました」。他部門の動向が社内報でしか分からなかったMANAとの違いを、浜田さんは言い表す。「米国だから米国式運営は当然でしょう」とも言う。MANAと同じ敷地にあったマツダ・フォード合弁生産会社(AAI)の不振を知るだけに、変化も受け入れざるをえない。

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 しかし、浜田さんが割り切れない思いを抱いているのも確かである。米国人社員に「君は何年いるの」と聞かれる度に、マツダの出向者が「研修目的のお客さん」と見られている、と感じる。

 「勉強はしたい。でも私は仕事をしに来ているんです」。米国人社員がマツダ出向者をライバル視するようになった時、初めて真の意味でマツダがグローバル化した会社になる―。浜田さんは、自分なりに分析している。



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