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【2】、心と体―調和の取れた人間形成を目指す
いじめや犯罪の低年齢化など子供を取り巻く現状を踏まえると、全ての子供たちが社会の規範意識や公共心を身につけ、心と体の調和の取れた人間になることが重要です。
学校と地域が連携しながら徳育を実施し、自然体験や職業体験を行うことで、子供たちは、命の尊さや自己・他者の理解、自己肯定感、働くことの意義、さらには社会の中での自分の役割を実感できるようになります。
親子の確かな絆を育む家庭教育や就学前の教育の役割は重要であり、子供の成長とともに親も共に学び、育児を通じて子供がいる喜びを感じるとともに、地域の子供を地域ぐるみで育むことが重要です。
提言1 全ての子供たちに高い規範意識を身につけさせる【徳育を教科化し、現在の「道徳の時間」よりも指導内容、教材を充実させる】
○国は、徳育を従来の教科とは異なる新たな教科と位置づけ、充実させる。
・全ての学校・教員が、授業時間を確保して、年間を通じて計画的に指導するようにする。
・徳育は、点数での評価はしない。
・教材については、多様な教科書と副教材をその機能に応じて使う。その際、ふるさと、日本、世界の偉人伝や古典などを通じ、他者や自然を尊ぶこと、芸術・文化・スポーツ活動を通じた感動などに十分配慮したものが使用されるようにする。
・担当教員については、小学校では学級担任が指導することとし、中学校においても、専門の免許は設けず、学級担任が担当する。特別免許状の制度なども活用し、地域の社会人や各分野の人材が教壇に立つことを促進する。
○国は、脳科学や社会科学など関連諸科学と教育との関係について基礎的研究を更に進めるとともに、それらの知見も踏まえ、子供の年齢や発達段階に応じて教える徳目の内容と方法について検討、整理し、学校教育に活用することについて検討する。
○国語や社会科、音楽、美術、体育、総合的な学習の時間なども関連付けて、広く徳育を充実する。
提言2 様々な体験活動を通じ、子供たちの社会性、感性を養い、視野を広げる【全ての子供に自然体験(小学校で1週間)、社会体験(中学校で1週間)、奉仕活動(高等学校で必修化)を】
○学校は、子供たちの成長段階や地域の実情を踏まえ、全ての学校段階において体験・奉仕活動を実施する。国、地方自治体は、必要な援助を行い、条件を整備する。
・小学校で、1週間の集団宿泊体験や自然体験 ・農林漁業体験活動を実施。
・中学校で、1週間の職場体験活動を実施。
・高等学校で、奉仕活動を必修化。
○学校は、子供たちの勤労観・職業観を育成するためのキャリア教育を強化する。国、教育委員会は、専門高校、専修学校等が地域社会と連携して行う特色ある職業教育の取組を積極的に支援する。
○国、地方自治体は、スポーツ団体の参加の促進、総合型地域スポーツクラブの整備、ボーイスカウト・ガールスカウト活動との連携などにより、学校教育や地域のスポーツ活動を促進する。教育委員会は、スポーツリーダーバンク(スポーツ指導者を登録・紹介する仕組み)の活用を含め、指導者の活動を支援する。また、音楽、美術、演劇、伝統芸能など、学校教育や地域社会における芸術・文化活動を促進する。
○学校、教育委員会は、都市と地方の子供たちの交流を深めるため、姉妹校の提携を促進する。
提言3 親の学びと子育てを応援する社会へ【学校と家庭、地域の協力による徳育推進、家庭教育支援や育児相談の充実、科学的知見の積極的な情報提供、幼児教育の充実、有害情報対策】
○子供たちの規範意識や「早寝早起き朝ごはん」などの生活習慣については、学校と家庭、地域が協力して身につけさせる。また、挨拶やしつけ、礼儀作法についても、子供の年齢や発達段階に応じ、学校と家庭が連携して子供に身につけさせる。
○国、地方自治体は、父親の子育て参加への支援、訪問型の家庭教育支援や育児相談など、保護者を支援する施策を充実する。また、PTAの会合、家庭教育学級や妊婦健診、子供の健診等保護者の多く集まる機会を活用した親の学び、子育て講座、親子が学び遊べる場を拡充する。
○中学校・高等学校の家庭科などにおいて、生命や家族の大切さ、子育ての意義・楽しさを理解する機会を拡充する。
○国は、脳科学や社会科学などの科学的知見と教育に関する調査研究などを推進し、そこで得られた知見の積極的な普及啓発を図り、今後の子育て支援に活用する。
○国、地方自治体は、地域の子育て支援の機能を持つ認定こども園制度を積極的に推進する。
○国、地方自治体は、幼児教育の将来の無償化について、歳入改革とあわせて財源、制度等の問題を総合的に検討しつつ、当面、就学前教育についての保護者負担を軽減し、幼児教育を振興する。
○国、学校は、有害情報から子供たちを守るため、保護者に対して、携帯電話やインターネットのフィルタリング装着やテレビの有害情報防止に向けた啓発活動を推進する。
提言4 地域ぐるみの教育再生に向けた拠点をつくる【「放課後子どもプラン」の全国での完全実施、学校運営協議会の指定促進】
○国は、本年4月からの「放課後子どもプラン」の実施状況を把握し、全国全ての小学校区での実施に向けて、地方自治体がより取り組みやすいものとする。
○国、地方自治体は、地域ボランティアと学校の連携を図るため、PTA、卒業生、地域の人々などが土曜の補充学習、部活動、施設管理など学校運営を支援する体制が全国の学校で整えられるよう支援する。
○国、教育委員会は、地域が学校運営に参画する学校運営協議会の先進的取組事例について情報発信等を行い、学校運営協議会の指定を促進する(平成19年4月1日時点の学校運営協議会数…195)。
提言5 社会総がかりでの教育再生のためのネットワークをつくる【校長、教育委員会の意識改革、コーディネーターの養成・確保】
○国、教育委員会は、校長や教育委員会指導主事等を対象に、地域や企業等との連携に関する研修や情報提供を充実させ、学校運営や授業改善に外部の人材やノウハウを活用するよう意識改革を促進する。また、放課後子どもプランや体験活動、キャリア教育、総合的な学習の時間の充実に向けて、商工会議所等の経済団体やNPO等と協力し、学校、地域社会、企業等の連携を図るコーディネーターの養成・確保を促進する。
○企業は、社員が家庭責任を果たし、社員が積極的に授業参観や学校ボランティア等に参加しやすくするため、仕事と育児の両立など、ワークライフバランスの促進に向けた環境づくりを進める。また、保護者が働いている姿を子供たちに見せる機会づくりに努める。
○学校、教育委員会ほか教育関係者、地方自治体関係者、企業関係者等が協力して、社会総がかりでの教育再生に貢献するネットワークを構築する。
【3】、地域、世界に貢献する大学・大学院の再生―徹底した大学・大学院改革―
〈改革の視点〉
○グローバルな「知」の競争の激化、18歳人口の減少による大学全入時代の到来、社会人の再教育への要請など、社会の構造やニーズが変化するなか、大学・大学院に求められる役割も大きく変わりつつあり、新時代にふさわしい大学・大学院への改革が急務です。
○知識基盤社会である21世紀において、我が国が成長力を高め国際競争に打ち勝っていくためには、次の3つの視点からの徹底した大学・大学院改革が必要です。
(1)競争力の基盤となる数多くの優れた人材の育成
(2)社会において指導的役割を果たすリーダーとなる人材の育成
(3)イノベーションを生み出す世界トップレベルの教育研究拠点としての大学・大学院 例えば、今後10年以内に、定評ある国際比較において、我が国の大学・大学院が、世界の上位10校以内を含め上位30校に少なくとも5校は入ることを目指す。
〈大学・大学院の機能〉
○各大学は競争的環境の中で切磋琢磨し、自らの選択に基づき、世界的教育研究、幅広い職業人養成、総合的、国際的な教養教育、地域密着型、さらには地域の生涯学習など、機能別に分化し、特色を出していくことが求められています。
○また、これからの「知識基盤社会」の大学・大学院は、幅広く深い教養と専門分野に関する高度の知識を修得する場でなければなりません。このような教養は生涯を通じて涵養されるものですが、大学学部段階においては、高校までの学習成果の上に、様々な分野で活躍する人材が基本的な素養として備えるべき幅広く深い教養の修得が期待されます。そのため、文系・理系の区分にとらわれない大きな「知の体系」を俯瞰した充実した教養教育が重要です。あわせて、専門分野に関する基礎的な教育や、社会で自立して生きていくための基礎的能力の教育を行うことが求められます。大学院段階では、その上に立って、専門分野に関する高度な内容の教育研究を行う「最高学府」として、将来、イノベーションを生み出す世界トップレベルの研究者や高度専門職業人として活躍し得る人材の養成を目指すことが求められます。
○なお、個々の学生の力を最大限に伸ばすためには、所属や学年等にとらわれず、それぞれの能力、進度等に応じ、多様な形で教育研究を行うことができる柔軟な仕組みとすることが重要です。
〈今すぐ取り組むべき5つの改革〉
提言1 大学教育の質の保証【卒業認定の厳格化、外部評価の推進、大学入試の抜本的改革の検討、意欲のある勉強する学生への奨学金拡充や学費免除、教員の教育力の向上】
■教育の質の保証
○国は、大学が行う次のような教育の質の保証のための取組を強力に支援する。
・卒業認定を厳格にするGPA(grade point average)制度(※)の導入など、単位・進級・卒業認定厳格化の取組の強化
※GPA制度:授業科目ごとの成績評価を、例えば5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して、4・3・2・1・0のようにグレード・ポイントを付与し、この単位あたりの平均を出して、その一定水準を卒業等の要件とする制度。
・社会や経済の動向を踏まえたカリキュラム改革や、学生の認知と学習スタイルの多様性に応じた教育の実施
・最新の研究成果を踏まえた教科書・教材や、多様なメディアを活用した自学自習用教材の開発、公開
・関係団体や大学が行うコア・カリキュラム(※)や標準教材の開発
※コア・カリキュラム…大学や学部単位において、習得すべき知識、技能、態度等を明確にし、到達目標やそのために必要な授業単位数を定めたもの。
・大学間の連携により他大学の優れた講義を学生が受講できるようにする等多様で柔軟な履修形態
・外部評価の推進(多元的評価の推進、評価体制・手法の確立、情報公開の徹底)
・専攻分野以外の分野の授業科目を体系的に履修させるダブルメジャーの推進
・ボランティア活動体験の大学教育への導入
○大学は、学生による実効性ある授業評価の実施を促進する。
○国は、教員の教育力の向上のため、次の取組を行う。
・全大学へのファカルティ・ディベロップメント(FD)(※)の義務付け
※ファカルティ・ディベロップメント…教員が授業内容・方法を改善し、向上させるための組織的な取組の総称。
・教育手法に関する研修プログラムの開発を支援し、大学において、教員の採用・昇任の際の活用を進める。
○国は、民間機関による試験等により、学生の大学卒業程度の学力を認定する仕組みを検討する。
■大学入試の抜本的改革の検討
○大学は、AO(アドミッション・オフィス)入試の活用と厳格な運用等により、大学の個性・特色を明確化し入試の多様化を図る。
○国は、大学入試の多様化、弾力化のための措置をはじめとした抜本的な改革について検討する。その際、初等中等教育に与える影響等も考慮する(大学入学年齢の弾力化、国立大学の入試日分散・複数合格、大学入試センター試験の資格試験化や年複数回実施、高卒程度認定試験の在り方等)。
■意欲のある勉強する学生への支援
○国は、優秀で意欲ある学生に対する奨学金を拡充する。特に、経済的に恵まれない優秀な若者に高等教育への道を開くため、例えば国立大学における特別枠(学費免除)の設定、学費減免を行う私学に対する補助の拡充等を検討する。
提言2 国際化・多様化を通じ、世界から優秀な学生が集まる大学にする【9月入学の大幅促進、教員の国際公募、英語による授業、国家戦略としての留学生政策、企業・社会との連携】
■9月入学の大幅促進
○国は、海外からの帰国生徒や海外からの留学生の要請に応えるとともに、日本版ギャップイヤー(※)などの導入による若者の多様な体験の機会を充実させる観点から、大学・大学院における9月入学を大幅に促進する。
○このため、国は、大学・大学院の4月入学原則を弾力化する(学校教育法施行規則の改正)。
○さらに、国は、海外からの帰国生徒や留学生の希望に応じられるよう、国立大学について、次期中期目標策定の際、ガイドラインを示し、9月入学を積極的に受け入れる大学・大学院を支援し、全国立大学での9月入学枠の設定を実現する。私立大学においても9月入学枠設定を促進する。9月入学枠を設定する大学について、運営費交付金、私学助成等により支援措置を講ずる。9月入学と合わせて、セメスター制(半年間の学期ごとに授業が完結し、単位の修得認定を行う仕組み)の導入を促進する。
※日本版ギャップイヤー…3月末までに入学を決定した学生に、9月からの入学を認め、その間、ボランティア活動など多様な体験活動を行う猶予期間を与えるもの。また、4月に入学した学生に、9月までの間、多様な体験活動を認め、このような活動を評価して一定の単位を認める仕組み。
■大学・大学院の国際化のための環境整備
○大学・大学院は、世界水準の卓越した教育研究拠点を形成するため、教員の国際公募、任期制の大幅な拡大などにより、世界トップレベルの教員の採用を促進する。
○大学は、外国人教員比率の増や、女性教員の採用に努める。
○国は、外国人教員の採用や留学生受入れ拡大のため、地元自治体や関係機関等の協力を得つつ、家族を含めた住環境・生活環境の整備など、都市インフラの強化を図る。
○国は、アジアを含めた国際的な相互連携プログラム(「大学・大学院グローバル化プラン(仮称)」)を策定し、これにより、海外大学との国際連携を推進する(単位互換、ダブルディグリー・プログラム、国際的な大学間ネットワークへの参加、サマースクール等多彩な国際交流プログラム等)。
○大学は、英語による授業や、英語のみで卒業可能な体系的教育プログラムを拡大する。
○国は、各大学や第三者機関による大学国際化に関する評価の充実・発展を図る。
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