中国新聞


広島の名水 7年で4割減
広島国際学院大・佐々木教授が「50選」出版

 「おいしい水」と評判だった、広島県内のわき水や井戸水の約四割がこの七年間に汚れたり、枯れたりして飲めなくなっている実態が、広島国際学院大(広島市安芸区)の佐々木健教授(55)=バイオ環境化学=の調査で明らかになった。水質を依然保っている五十六カ所を載せ、「広島県の名水 水質にこだわった名水50選」をこのほど自費出版した。(筒井晴信)

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7年間の踏査成果をまとめ、「広島県の名水」を自費出版した佐々木教授

■開発・里山荒廃が影 「水源守り高い水質維持を」

 佐々木教授は一九九八年、「名水」と評判の良い井戸やわき水など約百六十カ所を仲間と踏査。その後も採水し、検証を続けた結果、六十カ所前後で細菌の混入や水枯れを起こしていた。

 「温品清水谷名水」(広島市東区)は山陽道のアクセス道路の開通以降、冬に凍結防止剤をまくため大量の塩分が混じるようになった。団地造成が近くであった「黄金山名水」(南区)や「牛田新町あまず名水」(東区)、「相田湧(ゆ)水(ずい)」(安佐南区)は生活排水が混じり、「可部福王寺」(安佐北区)は山が荒れ、積もり過ぎた腐葉土から細菌が流れ込んでいた。

失われたフィルター

 水質悪化の原因は、開発による自然環境の変化に限らず、「名水を生み出す天然のフィルターだった里山が荒れ、逆に大腸菌などを出す汚染源に変わっている所もあった」と指摘する。

 残り約百カ所の水源を今回調べ、臥龍山の山頂近くにわく「臥龍山雪霊水」(北広島町)や「父木野長生きの水」(神石高原町)、「三滝名水」(西区)など計五十六カ所を「名水」として選定。水の味を左右するカルシウムやマグネシウム、鉄など十四種類の含有成分量やpHのデータを載せた。

炭酸イオン入り軟水

 「広島型」名水はミネラル分の少ない軟水で、炭酸イオンが適度に入っており、さわやかで味が良い。中でも「三滝名水」や「小倉名水」(東広島市)、「弘法水」(福山市)など十カ所は、水質学者の間で「日本一おいしい水」と評判の屋久島(鹿児島県)と成分がほぼ同じだった。「全国的には最高レベルの水が、広島にはまだ残っている」と太鼓判を押す。

 佐々木教授は「広島の人は、水はおいしくて当たり前と思い、水質の維持に無頓着すぎた。危機感を持ち、水源の周りの環境まで目を配る努力が必要」と訴える。

 本は新書判で、百六十三ページ。一冊千円で、紀伊国屋書店広島店(中区)で販売中。郵送での購入希望も、同教授の研究室で受け付ける。住所、名前、電話番号を書いて申し込む。ファクス082(820)2680。

水質の悪化した広島県内の主な水源
広島市牛田新町あまず名水、温品清水谷名水、黄金山名水、己斐滝の観音名水、屋代名水、相田湧水、可部福王寺、高陽町中深川名水
呉市銀明水、望地名水
廿日市市岩倉温泉
海田町海田矢びつ名水、海田貞福寺冷泉

2005.10.13


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