中国新聞

古里逸材
 金時ニンジン ―高い糖度 お節彩る鮮紅
金時ニンジンPhoto

 師走の野菜売り場は、日本的な赤色が目を引いていた。お節料理や鍋物に彩りを与える金時ニンジンだ。全国有数の産地岡山県船穂町では、出荷の追い込みをかけている。
 金時ニンジンは、江戸時代初期に伝わった東洋系のニンジン。鮮紅色はリコピンという色素で、老化の原因物質の活性酸素を抑える働きがあるといわれる。
 同県でもまとまった産地は船穂町だけ。高梁川に沿った砂地の深い耕土が栽培に適している。10月中旬から採れるニンジンは、京阪神の市場から「季節感の先取り」と喜ばれている。JA岡山西船穂町野菜部会の平松一朗会長(66)は「冷え込みのあとは味や色がさらに良くなる」と話す。
 糖度が高く果物並み。ニンジン独特の臭みも少なく、平松さんの孫たちは、シチューやカレーに入れると喜んで食べるという。ダイコンよりも早く煮える肉質の軟らかさも特徴だ。

(2003.12.26)
 三高なまこ ―小ぶり「ジャミ」は絶品
三高なまこPhoto

 グロテスクな珍味の代表といえばナマコ。古くから神饌(しんせん)として利用され、食べられてきた。広島湾では、11月1日にナマコ漁が解禁。寒さが増すにつれて味が良くなる。
 中でも広島県沖美町の「三高なまこ」は評価が高い。1、2月に取れる「ジャミ」と呼ばれる約7、8センチの小ぶりのナマコは軟らかく、心待ちにする人も多い。
 日没から日の出まで底を引く。漁などで傷ついたナマコは蓄養して傷を癒やし、良い状態で出荷する。約30年も前から、袋に生産者名を記入するなど、製品に自信と責任を持っている。
 生息場所によって、アオ、アカ、クロの三型に分かれる。赤褐色の模様を持つアカナマコは希少品で値段は青緑色のアオナマコの約2倍。クロナマコはあまり価値がないとされる。
 三高漁協の水口直樹さんは、「メバルをしっかり焼いて身をほぐし、ナマコの酢の物と一緒に食べるとおいしい」と話している。

(2003.12.19)
 津田かぶ ―ぬか漬け ほどよい酸味
津田かぶPhoto

 紅紫色でまが玉状の「津田かぶ」がはでに干された様子は、松江市の初冬の風物詩。4〜6日間、寒風にさらされうまみを増したカブの多くは、業者に引き取られ「津田かぶ漬」になる。
 滋賀県の「日野菜かぶ」が祖先で、17世紀半ばに、参勤交代により伝わったという。明治初期に、津田村(現在の同市津田地区)の立原紋兵衛さんが品種改良。同地区を中心に作られるようになった。
 九月に種をまき、11月から収穫。畑のほかに例年、稲刈り後の田で、うねを高くして栽培する。九月中旬に雨が多かった今年は、種をまけなかった人もいる。しかし、その後は天候に恵まれ、出来は上々だ。
 農家では、自家製の漬物が食卓を飾る。浅漬けはシャキシャキ。同市西尾町の吉岡敏さん(66)は「汁が桜色になった本漬け(ぬか漬け)は、ほどよい酸味があり独特のうまさ」と話す。酒を飲んだ後に、ちょっとつまみたい一品だ。

(2003.12.12)
 いしじみかん ―倉橋生まれ 甘さまろやか
いしじみかんPhoto

 こたつに足を突っ込むと食べたくなる。かごに盛ったミカンを囲めば、家族や友人と自然に心が通じるような気がする。
 広島県の最南端、倉橋町生まれの「いしじみかん」は、そんなだんらんのひとときが似合う。まろやかな甘さとさわやかな食感が特徴。生産者でJA呉選果場の野田耕耘副場長は「一つ食べたら、二つ三つ手が出る」と自慢する。
 30年ぐらい前に、同町の石地冨司清さんのミカン園で見つかった突然変異種。雨が多い年でも浮皮がなく、肌につやがある。果糖が多いため、甘みを感じる。1995年に研究部会ができ、3年前の11月に品種登録された。
 瀬戸内海を見下ろす段々畑では、ミカンの実が九割方色づいてきている。いしじみかんは量が少なく、12月中旬から2週間程度だけ出荷される。「雨の多かった今年は、はっきりと味の差が出る」と生産者の期待は大きい。紅の濃い、小玉のものがお薦め。

(2003.12.5)
 作州黒 ―「1年健康に」おせちの顔
作州黒Photo

 ふっくらとたき上がった黒豆で、1年をまめ(健康)にと願う正月のおせち。黒光りするつややかな豆を口に運ぶと、自然と顔がほころぶ。
 岡山県勝英(勝田郡、英田郡)地区では、特産の「作州黒」の収穫を迎えようとしている。1970年ごろ、兵庫・丹波で長年栽培されてきた丹波種の黒大豆が、同地区に伝わり栽培されるようになった。現在、同種の作付面積は、岡山県が日本一になっている。
 生産者の間では「苦労豆」といわれる。デリケートで、水や肥料の加減が難しく、収穫後も気が抜けない。勝央町の山下敏一さん(73)は「じわっとゆっくりゆっくり乾燥させんと、皮が割れたり、しわが来る」と話す。
 苦労の末にできた黒豆は丸々としていて大粒。煮豆にすると「ほっこらうまい」(山下さん)。一晩水に漬けた豆を、煮汁に重曹を少し加え、さびたくぎと一緒に、時間をかけて煮ると、皮を破らず色よくたける。

(2003.11.28)

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