中国新聞サンフレ情報
完全燃焼 矢折れ力尽く'02/11/30


札  幌 5 1―1 4 広  島
3勝1分   3―3   5勝2分
け11敗    延 長   け8敗 
(9)    1―0   (16) 

●…広島は得点差をつけての勝利を目指し、攻撃的に臨んだが、 守備が崩壊して延長Vゴール負けを喫した。

プレッシャーから動きの硬さが目立った広島は、前半8分に先制 を許す苦しい展開。42分に森崎浩のゴールで同点に追いつき、後半 は攻撃的なシステムに変更し、相手ゴールを脅かした。

後半2分に久保、8分茂木が立て続けにゴールを決め、リードを 広げたが、その後は札幌のカウンター攻撃の前に失点の連続。42分 に上村のヘディングシュートで勝ち越したものの、直後に曽田に決 められ、万事休す。降格が決まった延長前半9分、曽田のVゴール で力尽きた。(小西晶)

▽ラストパス 屈辱糧にはい上がれ

10年間、刻んできた「J1の時」が、止まった。奇跡は起きなか った。柏、神戸がともにリードしている状況で、選べるゲームプラ ンは、点を奪いにいくことしかなかった。4―5。これが精いっぱ いの抵抗だったろう。わずか1カ月の反攻で運命を変えられるほ ど、甘くはなかった。

今季の負の流れは、突然とも言える昨年のヴァレリー監督退団か ら始まった。上村の長期離脱、ガジエフ前監督の辞任、主力選手の 不調…。7連敗など、勝つ味を忘れたチームは、次第に負けること を恐れ始めた。相手の戦術やシステムで、戦い方を変え、戦術の一 貫性を欠くようになった。こんな「受け身」の姿勢が、最悪の結末 への流れを助長したといえる。

しかし、これは今年1年の戦いで生まれたわけではない。94年の 第1ステージ優勝以降、優勝争いにも、降格争いにも絡むことがな かった。そんな安住のシーズンの繰り返しで、いつしかチームの体 質から、「優勝するんだ」という情熱と、厳しさが消えていった。

「うちは落ちる戦力ではない」という危機感のなさ。「あとはき っかけだけ」という甘い見通し。この降格は事故や災害ではない。 そんなぬるま湯体質が、チームに金属疲労を引き起こしたのであ る。

これから1年、J1の舞台から、広島は姿を消す。ただ、サポー ターは、これが終わりではなく、新たに針を動かす始まりであるこ とを信じている。この逆流の中で、この屈辱にまみれながら、もう 1度はい上がってこい。もう1度時を動かすことができるのは、こ のピッチで泣いた選手、あなた方だけなのである。(小西晶)

▽最後の粘り「未来へ」

終戦を告げる札幌・曽田のVゴールがネットを揺らした。J1降 格が決まり、ピッチにへたり込む広島の選手たち。林、森崎浩、八 田…。「みんな顔を上げよう」。立ち上がれない若手に声をかけ、 気丈に振る舞う上村。ベテラン桑原は頭を抱え、元気者の藤本はぼ う然と立ち尽くす。必死の抵抗も報われなかったイレブンの顔に は、絶望と疲労の色がにじんだ。

延長に入った時点で、多くの選手は「降格」を知っていた。望み はついえても、気力を振り絞ってこぼれ球に走り込み、ゴールを狙 った。来季につなげるために、勝利を追った残酷な9分間。「勝ち たいと思った。それが僕らの役割だから」。服部は唇をかんだ。

残留を争い、リーグ終盤は負けられない試合が続いた。のしかか る重圧の中で、最後の4試合は2勝1分け1敗。粘りは選手の意地 であり、財産だった。「この戦いを来年に持っていかなければ… 」。沢田は目の奥に涙をためた。

試合後、大勢の報道陣に囲まれた上村。来季を見据えるように、 まっすぐに前を向いて言い切った。「これが1年間の結果。しっか りと受け止めなければならない」。再びJ1へ戻ってくるために、 この日の屈辱を忘れることはできない。(五反田)

▽育ての親「申し訳ない」 今西総監督退団濃厚か

Jリーグ創設10年目で初のJ2降格。今西総監督は強化部門の最 高責任者として、その瞬間を見届けた。「サポーターの期待に添え ず、ただ申し訳ない」。広島の「育ての親」だけに動揺は隠せず、 言葉を絞り出しながら何度も目をしばたたかせた。

屈辱の降格を「チームづくりの遅れ」と総括した。昨年末にヴァ レリー監督が退団し、今季はガジエフ監督を登用。「攻撃型からバ ランス型へ。コンセプトが、選手にうまく伝わらなかった」

1962年に東洋工業(現マツダ)入りし、DFとして日本リー グ4連覇に貢献。2部に落ちた84年に監督を引き受けた。組織プレ ー重視の欧州型サッカーを志し、Jリーグ参加や94年第1ステージ 優勝を支えてきた。

自らの進退は「球団幹部と相談してから」と明言を避けたもの の、退団が濃厚。「日本協会役員の仕事などで、チームとのかかわ りがやや薄くなった時期があった。もっとしっかり見られていれば …」と悔やんだ。

10月26日の清水戦に敗れ、自力残留が消えた後に2勝1分け。最 終戦に望みをつないだだけに「方向性は間違ってないし、選手も残 ってくれると信じている。1年で(J1に)上がらないといけな い」。40年にわたって広島の栄光も屈辱も見つめてきた目が、最後 に力を帯びた。 (加納)


試勝分敗勝得失 得
合 け ち   失
数数数数点点点 差
1磐 田 151302353313 20
2G大阪 151005272413 11
3鹿 島 15906262521 4
4東京V 15825242619 7
5F東京 15807222019 1
6横浜M 15816221616 0
7京 都 15807221824−6
8浦 和 15816212014 6
9 柏  15636211817 1
10神 戸 15627192122−1
11市 原 15609181619−3
12清 水 15609171624−8
13名古屋 15519162123−2
14広 島 15528161821−3
15仙 台 154110121730−13

16札 幌 15311191529−14

【写真説明】上=後半8分、茂木(右)がループシュートを決め、3―1とする。GK佐藤洋
下=試合後の会見を終えた上村(左端)


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