2001/2/10
◇一芸の頂点へ「力試す」◇ マルチな才能が際立っている。高校時代にFW、ボランチ、攻撃的MFと数々のポジションをこなしたサッカーセンスは、幼少のころからの習い事で感性を磨かれた。「何でもやった。やったと言うより、やらされたのかな」。照れ顔の回想録には、オールマイティーで培った誇りがのぞいた。
小学時代は、月曜日から土曜日まで習い事一色だった。水泳に始まり、体操、ピアノ、書道、英会話、サッカー。体操はバック転のレベル、書道は初段までいった。中でも、得意なのはピアノ。「一番自信があるのはトルコ行進曲。ちょっとしたホールで、発表会も経験しました」 歯科医の父と教員の母の家庭で育った。父はサッカーをやることに、もろ手をあげて賛成していなかった。奈良県内の強豪、奈良育英高に進学を決めたのは、中学三年の春。「半年以上かけて話し合い、最後は分かってくれた」。数々の習い事の中で最も魅力を感じ、楽しかったのがサッカーだった。 「たぶん(父は)サッカーで生きることには、やめてほしいと思っていたはず」。子から見た親の気持ちは、勝手に理解してきたつもりだ。ただ、スカウトが見に来ていることを知った昨夏から、心が揺れ始めた。「どうしても自分の力を試したくなった」。マルチよりも、一芸の頂点に挑む生き方に目覚めた。 父は一言だけ言った。「後先のことだけは、考えておけ」。その言葉の重みとありがたさを今、かみしめている。「これまで出会った人、いろんな習い事をさせてくれた親に感謝したい。これからは実力だけが頼りの世界で生かしたい」。ピアノ発表会で学んだ度胸強さ、体操で養った柔軟性…。数々の習い事から得た器用さを集結し、自分で選んだ道を極める。
|
||||||||||||||||