2001/2/14
◇超高校級キックに自信◇ ずっと「サッカーやりたい症候群」だった。サッカーのために進学した高校は、文武両道の校風で厳格。「欠点を三教科とると練習停止になるから、サッカーばかりとはいかなかった」。うずうずする体を抑え、ペンを握り、机に向かった。「でも、やっと今から…」。青々としたピッチに毎日立てる喜びがにじむ。
昔はよく泣いた。弱小だった中学時代。負ければ、腹が立った。人目をはばからず涙した。「どうしてできないんだ」「なんで勝てないんだ」。悔しくてたまらない時、涙が自然とほおを伝った。ゲームを一番後ろで見るGKだけが味わう、もどかしさがこみ上げた。 「精神面が弱かった」「気持ちの切り替えも、上手でなかった」と振り返るが、決して弱虫ではない。サッカーへの愛情、勝負への情熱、負けん気の強さが、いつも涙に化けた。「上手になりたい」。それだけ純粋だった。 四六時中、サッカーのことを考えている。試合が近づくと、食事にも配慮。大好物の肉類を控え、野菜を多めに取った。「トレーナーから、肉は食べない方がいいと言われたのが最初でした」。暇があればスポーツと健康の本を読んだ。サッカー知識を広げるためなら、何でも実行した。 「おとなしい」と分析する性格で、持ち味は「攻撃的なGK」と言う。自信の源は、超高校級と称されるキック力。入団会見の席上、「夢はゴールキック一本をアシストとして、ゴールに結びつけること」と言ってのけた。
前川(現・大分トリニータ)や下田らを育てた広島は、「GK王国」の異名を取る。元日本代表GKコーチの望月氏も復帰した。「いい環境で育つ、育たないは自分次第だと思う。基本から一歩一歩。先輩を見本に」と、抜群の練習環境に胸の高まりを抑えられない。待望のサッカー漬けの今、涙した自分とは決別している。
(おわり)
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