地域と新聞 専門記者の目(3) |
'99/10/15 |
一日が新聞開いてやってくる
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増える少年少女の犯罪 |
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| 「キャップ!またひったくりです」。受話器の向こうで、若い記
者のせき込んだ声が響く。今春、三年半ぶりに警察・司法の担当部
門に戻り、日々のニュースを追う中で、少年少女の非行や犯罪が随
分と増えているのに驚いた。事件報道を通じ、少年たちの心の荒れ
が想像以上に広がっている現実を、あらためて見せつけられたよう
で、子を持つ親の一人としても心穏やかではいられない。 ■広島はワースト2位 栃木県黒磯市の中学校で昨年一月、遅刻を注意された一年の男子 生徒がバタフライナイフで女性教師を刺殺する事件が発生。相前後 して、ごく普通の子どもたちが「キレる」異変が多発し、親や教師 たちの間に衝撃が広がった。神戸市須磨区で、一昨年五月に起きた 連続児童殺傷事件のように、中学生や高校生が引き起こす凶悪犯罪 が増えたのも、最近の特徴だ。 私たちが目配りをする中国地方も例外ではない。広島県では昨 年、刑法犯少年の都道府県別少年人口比が、大阪府に次いでワース ト二位になるなど、深刻な事態が続いている。岡山五位、鳥取十 位、山口十二位、島根二十一位と、他の四県も楽観できる状況には ない。 広島県警少年課によると、昨年の県内の犯罪少年の補導・摘発総 数は五千五百九人で、対象年齢人口の二十一万四千三百七十一人で 割った少年人口比の指数は二五・七。一位の大阪府と一・三ポイントの差 しかない。 十年前にいったん落ち着いた補導・摘発件数は、三年前から再び 増加に転じ、戦後第四のピークとされるここ数年の全国の傾向とほ ぼ一致している。万引や自転車盗など、「初発型」と呼ばれる補導 歴の少ない少年の犯罪が約七割に達し、補導・摘発総数の約八割を 中学・高校生が占める。 お年寄りや女性など、社会的な弱者に的を絞った「ひったくり事 件」は、少年たちの心の荒れが噴き出した象徴的なケースの一つ。 その深層に迫るためにも、犯罪少年たちの心の軌跡を描いてみよう ―。六月下旬、本紙社会面で三回にわたって紹介した「急増ひった くり 弱者を襲う少年たち」には、そんな狙いが込められていた。 「金がない」「ならやるか」。二言、三言の会話から、いとも簡
単に一線を越える子どもたち。「カラオケにナンパ、ゲーセン。友
達付き合いには、とにかく金がかかる」「ケータイの通話料もばか
にならん」…。
広島県では昨年、過去最高の七百十六件のひったくり事件が起き た。四年前の倍。岡山県では二百十六件、山口県五十六件、島根県 二十件と他の三県でも倍増した。広島県では、今年も昨年と同じペ ースでひったくり事件が起きている。 「昔は罪を犯す少年にも、悪いことをしているとの自覚があっ
た」「最近の子はゲーム感覚で万引やひったくりをする」「その同
じ仲間になるかどうかも紙一重。規範意識に欠ける子が増えてい
る」。前線で少年と接する捜査員や、保護観察所、児童相談所など
関係機関の担当者の悩みも深い。 「高齢化社会と核家族。この二つを結びつけるキーワードは、地 域の連携だと思うのですが」。取材先の福祉施設で聞いたつぶやき が、今も忘れられない。さまざまな事情で孤立を深める家庭には、 地域の温かい目と支援の手が必要だ。 幸い、中国地方の各地では、地域の再生に向けた新たな取り組み も始まっている。広島県では昨秋、少年問題に組織を挙げて取り組 むため、県警に少年対策本部が発足。広島市安佐南区では、教育界 や地域との連携で、暴走族を離脱した少年たちのための「居場所づ くり」が進む。 次代に向けた再生の芽を探り、地域の人たちとの情報のキャッチ ボールで大切に守り育てる。それも、地域に根差す新聞の大きな役 割だと、自戒を込めて思い直している。 |

