住基ネット判決 判断の違いなぜ出たか
'06/12/12

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)をめぐる住民訴訟で、司法の判断が揺れている。

 名古屋高裁金沢支部はきのう、住民勝訴の一審判決を取り消し、住基ネットからの離脱請求を退ける判決を言い渡した。

 同様の訴訟では先月末、大阪高裁が「住基ネット制度には、個人情報保護対策の点で無視できない欠陥がある」として、大阪地裁の一審判決を破棄。住民側の離脱請求を認めたばかりである。

 同じ趣旨の訴えに対し、示された司法判断は表と裏ほどに違う。特に、短期間の間に相次いで出された高裁レベルの正反対の裁定に、戸惑う国民も少なくないのではないか。

 一連の訴訟では、住基ネットへの強制加入がプライバシー権を保障した憲法一三条に違反するかどうか―が争点になった。

 今回の訴訟で逆転敗訴した原告の住民側は、判決を不服として上告する方針だ。大阪高裁判決でも、被告三市のうち上告を断念した箕面市を除いて、守口、吹田両市が上告している。

 最終審としての最高裁の判断が問われる局面である。迅速な訴訟指揮に加え、「憲法の番人」として厳正で的確な判断を求めたい。

 「合憲」か「違憲」か、いずれの判断を導くにしても、違憲判断を下した大阪高裁判決への具体的な評価を抜きにしては説得力を欠く。国民の不安を内包したままでは、制度の安定的な運用はおぼつかないからだ。

 被告となった行政の側も、揺れる司法判断の意味を重く受け止める必要がある。

 「合憲」とした高裁金沢支部の判決も、住基ネットに蓄積される名前や住所、住民票コードなど六項目の個人確認情報については、憲法で保障された権利であることを認めている。

 「公権力が正当な理由に基づき、相当な方法で個人情報の収集、管理、利用をする限り…」。裏を返せば、行政側が制度の厳格な運用を怠ったり、逸脱したりした場合は憲法違反の可能性もあるということだ。

 大阪高裁判決が「目的外の利用を中立的な立場で監視する第三者機関の設置」を求めたのも、こうした考え方に基づく。

 東京都杉並区と国立市、福島県矢祭町の三自治体は、安全性への不安が解消されていないとして住基ネットへの接続をしていない。制度不信の根は深い。




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