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検察側と被告の主張の間を取った玉虫色の判断といえる。ファイル交換ソフト「ウィニー」を開発・公開し、著作権法違反のほう助罪に問われた元東大助手金子勇被告に罰金百五十万円(求刑懲役一年)の有罪を言い渡した京都地裁判決である。
国内で初めて交換ソフト開発者が刑事責任に問われた裁判だ。
判決によると、金子被告は二〇〇二年五月から自身のホームページでウィニーを公開。〇三年九月に、群馬県の男性ら二人(著作権法違反で有罪確定)が、ウィニーを使って映画などをダウンロードできる状態にするのを助けた。
「犯罪のほう助者」とする検察、「技術を検証しただけ」とする被告。最大の争点は、ウィニー開発について著作権侵害を手助けする意図があったかどうかだった。
判決は、匿名性が高く不特定多数が悪用するかもしれないと思って提供したらほう助になるなどの判断基準を示した。その上で、被告は「インターネットや雑誌を介し著作権侵害に利用されていることを十分認識していた」と認定。ウィニーを公開し続けたことで悪用者の著作権法違反のほう助が成立するとした。
際限なくほう助の範囲を拡大するのは妥当でないとし、開発者が委縮しないよう配慮している。
しかし、ほう助罪の成立には、実行犯がいつ、どこで何をするかを知っていることが要件になる。金子被告は、そこまで正確な認識がなかったはずだ。判決を受けて、弁護人が「高速道路で速度超過など悪いことをしている人がいるが、国土交通相は捕まるのか」と言うのも一理ある。
一方で、判決は開発意図については「著作権侵害をことさら生じさせることを企図したわけではない」とし、ウィニー自体はさまざまな分野に応用可能な有意義なものと評価。罰金刑という軽い選択でバランスを取ったとみられる。
金子被告は即日控訴した。ウィニーをめぐっては、著作物の違法な流通のほか、自衛隊や行政機関、企業からの機密・個人情報の流出が相次いでいる。セキュリティー対策などを講じなかった開発者の責任は問われよう。
ネット上の著作権を守るには、著作権法に新たな規定や課金システムを設ける必要がある。裁判は、社会や法制度が想定してこなかった情報技術(IT)の革新と普及の速度に国が追い付けない現状も浮き彫りにしている。
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