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離婚後三百日以内に生まれた子は一律に「前夫の子」とみなす民法七七二条の規定をめぐり、自民、公明両党は特例新法の今国会提出を見送った。この規定がネックになって、戸籍のない子が増えている。いつまでも放置せずに、子どものことを最優先に考えて法整備を急ぎたい。
実の父親の名前では出生届が受理されないのだから、どう考えてもおかしい。裁判所で前夫が親子関係を否定するなどの手続きを踏めば戸籍上も認められるが、協力してもらえないケースも多く、深刻な問題になっている。
法務省は月内にも、離婚後に妊娠したケースに限り医師の証明書があれば出生届を受理するように通達を出す。一定の評価はできるが、救済されるのは一割程度にすぎないとの指摘もある。離婚協議が長引いたり、ドメスティックバイオレンス(DV)から避難したりしている間に新しいパートナーと暮らし始め、子を授かるケースが少なくないためだ。
与党のプロジェクトチームがまとめた特例新法の要綱案は救済対象を「離婚前の妊娠」にも広げ、DNA鑑定の証明書があれば実の父親の子と認めることになっていた。ところが、自民党内で「家族制度の崩壊につながる」「貞操義務や性道徳の問題を考えなければいけない」との慎重論が強まり、結局、解決を先送りし、時間をかけて論議を続けることになった。
そんな次元の問題だろうか。
問われているのは、生まれてきた子どもの人権が侵害されていることだ。親の婚姻関係はどうであれ、国籍を与え、養育や教育、福祉など人間として当然の権利を保障するのは法治国家として当たり前である。家族制度を持ち出すのは、本質のすり替えだろう。
しかも、三百日規定ができたのは明治時代の一八九八年。百年以上たって、離婚や再婚への抵抗感が薄れた。男女平等や婚姻の自由といった当時は考えもしなかった概念が浸透したからではないか。医学も進歩し、妊娠時期や親子関係もほぼ特定できる。時代の変化に法律が追いついていない。法制度の不備を改める必要がある。
与党プロジェクトチームが女性の再婚禁止期間を現行の離婚後六カ月から百日に短縮する案を盛り込んだことで、自民党内の反発が一段と増した。だが、国連女性差別撤廃委員会から四年前に削除を求められた条項だ。この見直しも政治と行政の責務ではないか。
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