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アユ、シジミにやさしく、人が泳げるような太田川。そうなれば河口から連なる広島湾の養殖カキも健やかに育つ。
広島市の太田川再生プロジェクト検討委員会は昨年度中に水系の管理や活用の方策などをまとめる予定だったが、議論百出。五回の会合でも結論に至らず、本年度も論議を続ける。急ぐ必要はない。水の都の足元を固めよう。
検討委員会の顔ぶれは研究者や漁業関係者、環境保全活動をしている市民グループの代表と多彩である。太田川水系に十五の水力発電所を持つ中国電力がオブザーバー参加しているのも特徴だ。
太田川の水質や生態系などを考える場合、中電の取水による川の減水がいつも論点になる。漁業関係者や環境問題に関心のある住民らは「太田川疲弊」の根本原因とみる。一方、中電は公に認められている範囲で取水していると主張。議論はかみ合わなかった。
最近、全国の状況はちょっと変わってきている。電力会社に対して水力発電所やダムの管理・運営という観点だけではなく、水系全体の管理、環境保全にも一定の役割と責任を求める流れだ。
中電の検討委出席もこうした点を意識してのことかもしれない。ただ取水などの詳細なデータの提出については、慎重な物言いに終始している。
データが企業秘密に当たるとは思えない。検討委の研究者らによる影響分析とは別に、中電は第三者機関への委託分析を求めてもいい。二つを突き合わせることができれば客観性は保証される。もちろんデータ自体の正確さを前提にしての話だ。中電は、取水量の改ざんをしていたことが明らかになっている。
検討委として太田川におけるケイ酸塩の測定を提言してほしい。アユのエサになるケイ藻類の増殖に必要な物質だ。カキが海のミルクなら、ケイ藻は海や川の牧草とも言われる。だが窒素やリンと違って確かなデータはない。
広島湾については、国土交通省など関係する省庁、県と市が三月に策定した湾再生行動計画に実験的な測定の必要性を盛り込んでいる。太田川流域で実施できれば、ケイ藻の生態などを川から海へ一体的に解明できる可能性もある。
太田川の再生に向けては、森林保全からごみ回収まで住民が幅広く関心を持って主体的に行動することも欠かせない。検討委での論議は、その触媒にもなる。
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