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東京の大気汚染和解 健康被害 長すぎた11年 '07/7/3

 車の排ガスで空気が汚され、苦しむ人が出ないようにしてほしい―。東京都内のぜんそく患者らが国や都、ディーゼル車メーカー七社などに損害賠償を求めた大気汚染訴訟で、メーカー側、原告側とも、東京高裁にきのう和解案受け入れを回答した。

 国や都も、受諾を既に伝えており、和解が事実上成立したことになる。やっと全面解決へ向かうとはいえ、クルマ社会が生み出した排ガス被害で、発作の不安にさいなまれ続けた原告らには、長すぎた十一年だったのではないか。

 和解案の柱は(1)医療費助成制度(2)公害対策(3)メーカー側の解決金―である。

 最重点の医療費助成で対象となるのは、都内に一年以上住み、公害健康被害補償法などの認定を受けていない気管支ぜんそく患者。治療費の本人負担分を助成する。五年間をめどに費用は約二百億円と見込まれ、国、都がそれぞれ三分の一、残りを首都高速道路会社とメーカー各社で負担する。

 気になるのは、五年で見直すとしている点だ。さらに充実させる方向なのかどうか明確でない。今の案では気管支ぜんそくだけで、肺気腫などが含まれていない点で不十分という指摘もある。

 都が打ち出したこの新制度について、国は当初「大気汚染とぜんそくの因果関係は認められない。補償の意味にも取れる医療費は出せない」と拠出を拒否。参院選を控え安倍晋三首相の「政治決断」で六十億円出すことになったものの、その姿勢には疑問が残る。

 公害対策は、国などが渋滞解消のための道路整備や緑地化の促進、大気汚染の観測体制の強化などに取り組むことになっている。

 一方、一審の東京地裁判決では原告の一部について国と首都高速道路、都に計七千九百万円の賠償を命じたが、メーカーへの請求は棄却した。こうした経緯もありメーカー側は解決金を出し渋ったが、和解への流れに抗しきれず、十二億円を出すことになった。

 「排ガス公害」は一九九五年大阪・西淀川訴訟判決で初めて認定され、九八年の川崎訴訟でも因果関係が認められた。その後、国が汚染物質削減に取り組むことなどを条件に和解が成立。首都圏を中心にディーゼル車規制などが進んできた。東京高裁は昨秋「原告が広域にわたる今回の訴訟は、以前と同列に論じられない」として和解を勧告した。これを機に排ガス対策を一層確実なものにしたい。




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