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安倍政権は医療費削減を主眼とする「小泉改革路線」を受け継ぎ、診療報酬の見直し、療養病床の大幅削減を進め、さらに七十五歳以上を対象とする新医療保険制度も二〇〇八年度から始める。高齢者の負担が増えるだけでなく、病床削減で行き場を失う入院患者が「医療・介護難民」になる恐れもある。
一方、産科、婦人科など深刻な医師不足が、離島や中山間地の病院を直撃し、お産や救急医療ができなくなる地域も出てきた。国民が安心して暮らせるには、緊急対策だけでなく、制度の根本的な再構築が必要だ。どういう方向をめざせばいいのか。
自民党は、医師確保のため六つの緊急対策を掲げる。都道府県からの求めで国が病院に医師派遣を要請、研修を受ける病院の定数見直し、勤務医の待遇改善、大学医学部の定員増など―。だが財源はどうするか。医学部定員の削減をはじめ、自民は改革大綱などを基に、医療費の抑制を積極的に進めてきた。緊急手直しにしても、これまでの検証をした上でなければ、場当たり的と見られても仕方あるまい。
公明党は、救急現場へ医師や看護師が同乗し駆け付けるドクターヘリの全都道府県への配備を法制化した、連立与党としての実績をアピール。産科、小児科の診療報酬アップなどを提示する。
これに対し民主党は、日本の医師数は十万人当たり二百人で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均二百九十人に比べ全体としても不足、と主張。まず約10%減となっている医学部定員を元に戻し、地域枠などを設けるとしている。
共産党は、国保の滞納世帯急増の現状から保険料引き下げを提案。窓口負担増の見直しを求める。社民党は、地方交付税の充実で自治体病院を守る、療養病床削減のストップなどを提起する。また、国民新党は過疎地での診療体制充実に目を向ける。
医療に今以上、国費を振り向けるのかどうかで政策選択は変わってくる。たとえ一時的に増えても、医師養成や治療法開発などに効率的に配分する方が、将来の削減につながるという見方もある。
医学部の地域枠にしても、地域医療を本来担うべき自治医大の現状分析のほか、防衛医大、産業医大の役割の見直しなど、もっと突っ込んだ制度論議が必要ではないだろうか。
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