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最高気温が三五度を超せば「猛暑日」と呼ぶ。気象庁がそう決めたのは今年である。各地で熱中症の死者が出ている夏の暑さを、まるで予見していたかのようだ。
埼玉県熊谷市など二カ所で四〇・九度を観測したのはおととい。七十四年ぶりの日本記録の更新だった。きのうも暑さは一向に衰えず、この二日だけで全国の死者は二十人を超している。熱中症に対する対策を、本気で考えなければならない。
体にたまった余分な熱は、皮膚の表面から放出される。あるいは汗をかいて、その蒸発によって体の温度を下げる。これが体温調節の仕組みだ。
ところが猛暑日のように気温が体温とほぼ同じだったり高かったりすると、皮膚から放熱されにくい。湿度が高いと、汗も蒸発しなくなる。体温コントロールが利かなくなった状態が熱中症だ。
七十―八十歳代の高齢者の死者が目立つ。自宅で寝ていて気分が悪くなり死亡するなど虚を突かれたようなケースもある。熱中症は炎天の戸外で起きるもの、というこれまでの「常識」も改めなければなるまい。
高齢者は体内の水分が少ないので、そう汗をかいていなくても脱水症状に陥ることがある。薬で汗が出にくくなって熱が放出されにくいこともある。そうした専門家の指摘を、高齢者自身や世話をする人たちは知っておきたい。夏は早め早めに水を飲むことを習慣にする必要もあろう。
一方で運動中に若い人が亡くなるケースもある。東京都では中二の男子生徒がバスケットボールの部活後に倒れた。痛ましい限りだ。日本体育協会は、湿度、輻射(ふくしゃ)熱、気温の三つの要素を用いた指標を示し、ある値を超えたら「運動は原則中止」としている。指導者は細心の注意を払ってほしい。
今年の暑さは、ラニーニャ現象によってフィリピン付近で熱せられた空気が北上し、太平洋高気圧の勢力を強めているのが原因とされる。そのメカニズムには地球の温暖化も一枚かんでいるといわれ解明が急がれる。
暮らしや産業の在り方をどう見直し、二酸化炭素の排出を減らして温暖化を防ぐか。政府は、早急に対策を具体化しなければならない。同時に企業や個人も、身の回りでできる「熱冷まし」を考えてみたい。大がかりな屋上緑化からささやかな夕方の打ち水まで工夫はいろいろあるはずだ。
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