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裁判員制で報道指針 知る権利と調和求める '08/1/18

 来春から始まる裁判員制度に合わせて、日本新聞協会が新たな取材・報道の指針をまとめた。殺人など重大な刑事裁判の審理への参加を国民に義務付け、裁判官と一緒に有罪・無罪などを決める参審制の導入に備え、国民の「知る権利」に応える決意を新たにするのが目的だ。

 報道の自由を損なわず、公正な裁判の実現を目指すための自主的な規範でもある。広く周知を図るとともに使命の重さをあらためて胸に刻みたい。

 指針ではまず「公正な裁判と報道の自由の調和を図り、知る権利に応えていく」と宣言。事件報道では真相解明のほか、社会不安の解消、再発防止策の追求、捜査や裁判のチェックという使命についても言及している。その上で、容疑者の供述内容がすべて真実との印象を与えないように十分注意する―などと具体策を挙げた。裁判員に予断を与えないためである。

 こうした指針にどこまで説得力を持たせられるのか。大事件や事故の当事者や関係者に多数のメディアが殺到し、プライバシーを不当に侵害するなどの集団的過熱取材の弊害が指摘されながら、一向に改まらない現状もある。

 節度ある取材・報道に徹するのは当然だ。そうした配慮を尽くした上で、事件の真相を伝えたり背景を掘り下げて現代社会が抱えるさまざまな問題点を明らかにする。事件取材や犯罪報道の重要性は、時代が移っても変わらないはずだ。

 二〇〇四年五月に成立した裁判員法では、有権者の中からくじで選ばれた裁判員は、非常勤の公務員とみなされ、守秘義務を負う。評決時の「有罪」「無罪」の数などを漏らせば、六月以下の懲役か五十万円以下の罰金に。元裁判員が裁判官らとの議論の経過を漏らしても罰金が科せられる。取材環境は一段と厳しさを増している。

 報道指針をまとめるまでに約五年の歳月を要したという。憲法で保障された言論の自由や知る権利と公正であるべき裁判の調和をどこに求めればいいのか。来年五月までに始まる裁判員制度では、この古くて新しい命題が喫緊の課題になった。中国新聞社も加盟し、新聞・通信・放送百四十社で構成する新聞協会内の協議が難航したのもうなずける。

 国民や読者の信頼をつなぎとめるためにも、今回まとまった指針に魂を吹き込む作業を急ぐ必要がある。不断の努力が欠かせない。




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