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日本経団連の御手洗冨士夫会長と連合の高木剛会長らがきのう、東京都内で懇談会を開き、春闘がスタートした。輸出に頼る日本経済の体質改善に個人消費の拡大が欠かせないとの思いでは、労使で一致しているように見える。問題はそのための賃上げの範囲や規模である。
経団連が賃上げを容認するのは、当然ながら業績のいい企業に限られる。「人件費改定の原資は、付加価値額の増加額の一部」と基本姿勢に掲げている通りだ。
連合は、全体的な賃金水準の底上げを柱にして、労働時間の短縮や格差是正を求める。最大の根拠にしているのが、企業が生み出した付加価値のうち人件費の割合を示す労働分配率の推移である。二〇〇一年度は75・1%だったのに、〇五年度は70・0%に下がっている。
上場企業の経常利益はことし三月期決算で五年連続で最高を更新する見通しという。ここ数年の企業経営には、従業員よりも株主を優先する姿勢が目立ったようにも映る。
輸出への過度な依存を改めて、国内の需要を増進するための個人消費刺激が必要というなら、一定の賃上げは欠かせまい。業績が好調な企業では、こうした視点が労使交渉の前提になろう。
しかし、大手企業で賃上げが達成されただけでは、格差の是正にはつながらない。社会問題になっているワーキングプア(働く貧困層)をはじめ、低所得者層への支援が必要になる。
正規雇用の労働者を中心に組織する連合も、この問題を重視せざるを得なくなり、昨年秋には「非正規社員支援に最優先で取り組む」との方針を打ち出した。組織内の賃上げにとどまらず、アルバイトや派遣社員の待遇改善への取り組みが急がれる。
雇用形態では、経営側が「多様な働き方」にこだわっている。それでも、偽装請負や日雇い派遣などの現状がこのまま放置されていいはずはなかろう。規制も必要になるのではないか。
一方で、景気の先行きに不透明感が広がっている。原材料の値上げなどに苦しむ中小企業は、賃上げも厳しそうだ。政府が条件整備を進めてもいい。
働きがいがあり、暮らしやすい社会を持続させよう。そのためにも、経済の安定とバランスのとれた賃金の確保が望ましい。そんな展望を開く春闘でありたい。
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