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配偶者やパートナーからの暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」を警察が認知した件数は、初めて年間二万件を超えた。警察庁がきのうまとめた。隠れていた実態が現れつつあるようだ。
昨年一年間に被害届が出されるなどしたDVは、前年に比べ約15%増の二万九百九十二件。二〇〇二年から取り始めた年間統計で最多である。
裁判所が加害者側に接近禁止などの命令を出したのは、二千二百三十九件。一割近くに達している。命令に違反して被害者に付きまとうなどし、DV防止法違反で摘発されたのは八十五件だった。
広島県警でも、認知は前年より約20%増の三百九十三件。表に出ない被害ははるかに多いと考えなければなるまい。
重大な犯罪に結びつくケースもある。妻がワインの瓶で夫を殴り殺し、遺体を切断して殺人などの罪に問われた東京・渋谷の事件。精神鑑定の結果、被告は夫からDVを受け続け犯行時は心神喪失だった、という。昨年、DVに絡んだ殺人事件は全国で七十七件もあった。
今年一月施行された改正法では、身体的暴力だけでなく脅迫行為もDVに追加。電話やメールなども禁止した。接近禁止の対象に親族らも含めた。被害者が逃れた実家や親族の家へ夫が押しかける例も頻発している。接近禁止の枠を広げたのは当然だろう。
広島市では改正法の趣旨を受け、新年度予算案に配偶者暴力相談支援センターの設置検討費を盛り込んだ。相談や情報提供、保護施設など多角的な支援策が欠かせない。
差し迫っているのは被害者保護だが、将来に向けて大切なのは自立支援だ。
昨年公表された内閣府の調査でも、被害者が配偶者と離れて生活を始めるとき困ったことは「当面の生活費がない」が約55%と最も多かった。「仕事を探したいが探せない」は約49%、月収は三人のうち二人が、生活保護費を含めても十五万円未満だった。
DV被害に遭っても配偶者から離れられない一因に、日々の暮らしへの不安がある。生活の基盤を築くために、住まいや仕事の紹介など具体的な手助けが何より大切だ。被害者を救うために頑張っている民間団体もある。それを支える仕組みが求められる。行政と民間が連携を深め、被害から抜け出せない悪循環を断ち切りたい。
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