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米国の共和、民主両党の正副大統領候補が正式に決まった。十一月四日の本選挙まで残り二カ月を切り、デッドヒートが予想される。国際秩序が多極化へと進む中で、米国の針路を決める論戦の行方を注視したい。
民主党は、予備選でヒラリー・クリントン氏を下したオバマ候補が勢いに乗って黒人初の大統領をめざす。副大統領候補に外交・安全保障政策の重鎮バイデン上院議員を起用し、八年ぶりのホワイトハウス奪回をうかがう。
対する共和党のマケイン陣営は、あっと思わせる作戦に出た。五人の子の母で四十四歳のペイリン・アラスカ州知事を副大統領候補に抜てき。実現すれば女性初となることから、クリントン氏支持票まで取り込もうというわけだ。
どちらの候補も掲げるのは「アメリカの変革」である。ブッシュ政権は、イラク戦争で世界の盟主としてのリーダーシップを低下させ、サブプライムローン問題に端を発する国際経済の混乱も招いた。どのように状況を転換させていくかが大きな争点となる。
イラク戦争について、オバマ氏は「戦闘部隊の十六カ月以内の撤退完了」を主張。マケイン氏はイラクでの勝利こそ「米国の安全保障には重要」と反論する。確かに、米兵の死者が延べ四千人に達する一方、テロ件数や現地の犠牲者は減少傾向にある。米軍の駐留をいつまで続けるかの判断は分かれよう。いずれにしても、いつかはイラクの人々に任せるしかない。「出口戦略」が必要なのは間違いない。
地球温暖化防止の京都議定書からの脱退、ミサイル防衛(MD)計画の前倒し…。ブッシュ政権の単独行動主義は多くの国の反発を招いてきた。欧州だけでなく、ラテンアメリカでも反旗を翻す国が現れた。中国など新興市場国の台頭も目覚ましい。国際協調で信頼を築くしかあるまい。
景気後退さえ懸念される経済の立て直しも急務だ。石油や食料品の高騰、サブプライムローンの破たんで米国の家庭は悲鳴を上げている。オバマ陣営は、低所得層を視野に物価高や失業増を防ぐ五百億ドル(約五兆四千六百億円)規模の景気刺激策を打ち出す。対してマケイン氏側は、減税の継続や法人税の大幅減税を掲げる。さらに踏み込んだ政策が望まれよう。
ヒロシマの視点からは、核の問題も忘れたくない。イラン核開発に対しては、オバマ氏が直接対話を唱え、マケイン氏は妥協無しで力の外交で臨むとしている。現政権が批准を放棄している包括的核実験禁止条約(CTBT)も宿題のままだ。
大統領選後の日米関係にどんな変化があるかも考えなければなるまい。日本でも、突然の福田康夫首相辞任表明で、後継の自民党総裁選びが進んでいる。政権選択の総選挙も年内実施がささやかれる状況だ。在日米軍の再編など、日米の安全保障政策の在り方についても、このままでいいのか。この際、主体的に考えを巡らせたい。
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