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かつてないほどの経済危機の中で、失業をどう食い止めるか。政府と日本経団連、連合がスクラムを組むことで合意した。三者の強い決意と受け止めたい。これからの具体的な行動によって、国民の間に一定の安心感を広げていってほしい。
まず労使が歩み寄ったのは、今ある仕事を分かち合うワークシェアリングを進めることだ。経営者からすれば、不況で仕事が減れば人件費を削りたい。といってリストラをしたのでは、労働者は生活できなくなる。
そこで休みを増やしたり、残業を減らしたりして解雇を防ぎ、その代わりに労働者も、ある程度は給料ダウンをのもう、というのである。
ワークシェアリングなどによって雇用を守る企業を、側面から支えるのが政府の役回りだ。仕事がなくても、社員を休ませたり訓練を受けさせたりして解雇を避けた企業に支給する「雇用調整助成金」はその代表施策である。
国はほかにも、雇用保険法の改正によって失業給付をもらいやすくしたり、再就職のための職業訓練を支援するなどの対策をとろうとしている。
こうして「政労使」が一体になって雇用の緊急事態を乗り切ろうというのが、先の合意である。今以上に失業率が高かった二〇〇二年にも、同様の政労使合意はあった。それ以来の「宣言」に、三者の危機感がにじむ。
既にワークシェアリングの手法を先行的に採り入れている企業もある。電機、自動車などの業界では、生産ラインを止めて休業日を増やし、その分給与を減らすなどの対応に踏み出している。中国経済連合会が今月発表したアンケートでも、製造業の三割が検討しているという。
合意といっても、現状を追認したり、これからの取り組みを権威づけたりするだけにすぎないような一面もある。それだけに、気掛かりなのは、労働者に賃下げを押しつける「言い訳」にされかねないことだ。
労働者の取り分を示す労働分配率も〇一年からずっと低下傾向にある。この春闘ではベースアップをゼロに抑え、定期昇給も凍結する大手企業が目立った。
給与には「生活給」の意味もある。今の給与を前提に家のローンや教育費を払っている家庭にとっては、賃下げは死活問題だろう。労働者の家庭が破産寸前になったのでは、政府や経営側が望んでいる「内需拡大」どころではなくなってしまう。
政府は企業の側面援助だけでなく、労働者や下請けが不利にならないようなチェックをすることも忘れてはならない。
ワークシェアリングを中心にした対応は、景気が上向くまでの緊急措置にすぎない。長いスパンでは、医療や介護など人手不足だったり、今後の成長が見込まれたりする分野での雇用の創出が不可欠だ。両輪がそろわなくては国民の本当の安心にはつながらない。
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