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ハイチPKO 地震国の経験を生かせ '10/2/9

 1カ月近く前にカリブ海の島国ハイチで起きた大地震の死者は、政府集計で20万人を超えた。今も倒壊家屋の下に埋まった遺体が多数ある、と通信社が伝えている。

 壊滅的な被害を受けたハイチの復興支援のため、国連平和維持活動(PKO)に参加する陸上自衛隊の第1陣がきのう、首都ポルトープランスに到着した。

 PKOでの自衛隊の大規模部隊派遣は、2002年の東ティモール以来8年ぶり。鳩山政権では初めてだ。陸自の施設部隊を中心に約350人が、避難テントを張る敷地の造成や倒壊家屋のがれき撤去、道路の補修などに当たる。

 地震直後の救助隊医療チームの派遣では出遅れた感のある日本だが、今回の迅速な派遣は評価したい。国内での震災復旧の経験と実績を生かして、目に見える国際貢献を果たしてもらいたい。

 自衛隊がPKOに参加する条件として、1992年に「5原則」を定めた。(1)紛争当事者間の停戦合意(2)当該国と紛争当事者の受け入れ同意(3)武器使用は要員の生命保護など必要最小限―など。04年から国連PKO部隊が駐留しているハイチの場合「紛争当事者間の停戦合意」はないが、政府は「武装勢力は組織化されておらず、紛争とはいえない」とし、5原則は満たされていると判断した。

 ただ、懸念材料もある。首都の日常生活は徐々に回復しつつあるが、政府機能はまひしたままだ。救援物資の遅配に怒った住民が物資を強奪する事態も起きている。隊員らが紛争に巻き込まれる恐れはないのか。安全確保に万全を期すことはいうまでもない。

 国連の枠内で、しかも人道目的だけに、今回の派遣そのものは問題はなかろう。ただ、政府が派遣を即決した背景には、米国が重視するハイチ復興に参加することで、普天間問題などでぎくしゃくする日米関係を改善したい、との配慮もあるとみられる。

 復興支援ならPKO以外の枠組みでも可能だ。「派遣ありき」で5原則の議論が不十分だった点は否めない。派遣後も繰り返し検証する慎重な対応が求められる。

 国連によると、日本はPKO予算全体の12・5%を負担し、米国に次ぎ世界第2位だ。しかし、派遣要員は今回のハイチを除くと3地域で計39人にすぎず、85位にとどまっている。

 政府関係者は、日本の要員派遣が増えない一因として、5原則が現実とマッチしていないと指摘する。紛争当事者が多数にわたったり、内戦型紛争が多くなったりして5原則の「紛争当事者」の条件を満たすことが難しくなっているためだという。

 岡田克也外相は、参加促進に向けて憲法の枠内での見直しを外務省に指示している。また、あらゆる事態に対応できる自衛隊派遣のための恒久法を制定しよう、とする動きもある。5原則は憲法から導き出されており、安易な変更は許されない。その点を銘記した上で、人的貢献の拡大について知恵を絞ってほしい。




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