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「よい経験だった」との答えが97%を占める。裁判員を務めた人を対象にした最高裁のアンケート結果だ。この数字がすべてを語っているのではないか。
裁判員制度が始まって1年がたった。開始前は不安の声が目立ったが、ここまでは一応順調に来た。法律のプロも一定の評価をしている。
制度に基づく裁判はこれまでに全国で506件。くじで選ばれた国民3千人余りが裁判官とともに法廷に臨んだ。その判決には従来と違う傾向も出ている。
性犯罪の刑が重くなった。量刑の相場よりも被害者の痛みを重視した結果とも受け取れる。保護観察付きの判決も増えた。社会の中での更生に重きを置くべきだとの市民感覚の表れだろう。事件に真摯(しんし)に向きあう裁判員の姿が垣間見える。
問題点も浮かんできた。まず弁護側の力量が見劣りすることだ。アンケートで8割が検察官の説明を「わかりやすい」としたのに対し、弁護士に関しては5割にとどまった。
検察側に比べ、組織的な準備の不足が響いたのだろう。被告の権利を守り、冤罪(えんざい)を生まないためにも、簡単な言葉で論点を示せるよう研修などに取り組んでほしい。
事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きも長期化している。裁判がなかなか始まらないため、3月までに起訴された被告のうち判決を受けたのは4人に1人の割合にすぎない。慎重さは必要だが、被告の身柄拘束が長引き、証人の記憶が薄らぐ懸念もある。
「事件はひとごとでないと思った」という裁判員の感想があった。司法への参加を通じて社会とかかわる視点が広がったようだ。
犯罪者を生み出さない地域づくりへつなげるためにも、裁判員の貴重な体験を周囲にどう共有してもらうか。守秘義務の範囲のあいまいさがネックになっている。「話してはいけないこと」を明確にし、できるだけ減らしていく必要がある。
今後は、被告が無罪を主張したり、検察が死刑を求刑したりするケースも出てこよう。「正確な裁判」のためには、取り調べの全過程を録画する「可視化」などに踏み切るべきだ。
手探りで歩み始めた裁判員制度。施行3年での見直し規定もある。運用を検証しながら、制度の意義を深めるよう改善を重ねたい。
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