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安芸高田の総ヘルパー構想 高齢者支える市民の輪 '10/6/21

 時々家に立ち寄っては、話し相手をしたり、ちょっとした手助けをしてくれたりする。一人で暮らすお年寄りには、遠くの親族以上に頼れる支えに違いない。

 行政の音頭で、救急処置や介護の基本を身に付けた市民を育てる。その上で地域の高齢者や障害者を見守る活動の担い手になってもらう―。安芸高田市が昨年から市を挙げて取り組んでいる「市民総ヘルパー構想」である。

 といっても市民にヘルパーの資格を取ってもらうわけではない。あくまで「お互いさま」の気持ちが原点。普通の市民が地域の助け合いの輪を広げる、新しい有償ボランティアの形といえようか。

 実際の仕組みはこうだ。市の委託で社会福祉協議会が市内の6地区で開く無料の養成講座(20時間)を受講すると「生活・介護サポーター」に認定される。希望すれば訪問員として登録。支援が必要な近くの高齢者を月1回訪ね、見守りなどに当たる。

 訪問員には1時間600円が社協から支払われる。見守りだけなら利用者の負担はない。

 3年間で500人の養成を目指すサポーターは現在、中高年女性を中心に150人余り。8割以上が訪問員として活動している。見守りを受けている高齢者も200人を超えている。まずは順調な滑り出しのようだ。

 3人に1人が65歳以上という安芸高田市の場合、広島県全体の「15年先を行く」スピードで少子高齢化が進んでいる。見守りを出発点に市民ボランティアの支援を定着させていくことで、医療・介護コストの増大に歯止めがかかれば、との期待もあろう。

 ただ効用はそれだけにとどまるまい。日ごろの暮らしぶりや健康の状態、不安や困りごと…。お年寄りの元に出向いて見えてくることもある。行政の手が届かなかった「すき間」を埋め、サービスにつなぐメリットは大きい。

 サポーターを志す市民にも「あすはわが身」の思いがあろう。施設実習とともに認知症介護者や障害者が語る講義は、地域の現状を知る格好の機会にもなっている。

 構想の生みの親である浜田一義市長は「地域が互いに助け合う『もやい』の復活」と位置付ける。市民と行政が協働で取り組むまちづくりの一歩だろう。

 それだけに、どれだけきめ細かな「暮らしの支え」を提供できるかが鍵になる。近くスタートさせる週1回程度の有料訪問のメニューには、ごみ分別や書類の整理、通院の付き添いなどを加えるという。いずれも介護保険ではできなかったサービスである。

 財源の確保も避けて通れない。3年間の国補助が終わった後は自治体で手当てしなければいけないからだ。お年寄りの安否を気遣う遠方の家族にすれば、多少の負担に異存はなかろう。日々の買い物では地元商店の協力も要る。

 合併で公的サービスの低下が目立つ市町も多い。市民の手を借りる安芸高田市のやり方は一つのヒントを与えてくれそうだ。

【写真説明】高齢者を支える生活・介護サポーターの養成講座(昨年8月)




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