|
日本航空が東京地裁に更生計画案を提出した。経営破綻(はたん)し、法的整理に踏み切って7カ月余り。承認されれば、待ったなしの経営再建がいよいよ動きだす。
元国策会社とはいえ、一民間企業の計画づくりに政府もかかわったのは異例だ。管財人である企業再生支援機構を通じ、3500億円の公的資金が出資される。特別扱いにほかなるまい。
「親方日の丸」の象徴とされてきた日航。何度も試みた合理化策は、どれも中途半端に終わっている。今回の計画案を見ると、かつてないほど大なたをふるっていることはうかがえる。
本年度内にグループ全体の3分の1にあたる約1万6千人を減らし、残った職員も給与や年金をカットする。採算が取れる見通しの立たない国内外の45路線は撤退。燃料費がかさむジャンボ機を引退させる。
こうしたコスト縮減の効果は約5千億円になるという。
一方で公的資金を受けるほか、銀行団に債権の87・5%にあたる5215億円を棒引きしてもらう。本年度に黒字化し、3年目には1千億円を超す営業利益を計上する―との筋書きである。
だが楽観過ぎる、との見方もある。「V字回復」は、経済動向の影響を受けやすい国際線が頼り。業績が上向くには景気回復が前提となるが、いま世界的に不透明感が増しているからだ。
新たな収益拡大策として、国際線で運賃の安い新会社設立も掲げるが、もともとアジアなどの航空各社の競争が激しい。必ずしもドル箱になる保証はない。
こうしたリスクを警戒してだろう。国土交通省は国際線の大幅縮小案を示した。しかし日航側は「稼ぎ頭になる」と応じなかった。かつての「日本の翼」の誇りもあるのかもしれない。
とはいえ今後「お荷物」になるようなら固執してはいられまい。全日空も含めた国際線再編の動きにつながる可能性もある。
そもそも更生計画案は2カ月前に出るはずだった。遅れたのは業績見通しを不安視し、新規融資に二の足を踏む銀行団との調整が難航したからだ。交渉がまとまらないままの見切り発車となった。
計画案が「絵に描いたもち」に終わり、二次破綻する最悪の事態を招いてはなるまい。経営陣の覚悟は十分だろうか。
政府の責任も重い。公的資金を投入する以上、長年の放漫経営の体質が改まったのかチェックする必要がある。国策として地方空港の不採算路線を日航に押しつけた経緯も忘れてはならない。
むろん安全確保なくして再建はありえない。機体を点検する整備要員もリストラ対象とした点に、25年前の日航機事故の遺族などから不安も出ている。どんな体制であっても安心して乗れる飛行機にしてこそ信頼を取り戻せよう。
もし再建に失敗すれば、国民の負担がさらに膨らむ。経営陣は公的資金の重みを肝に銘じ、あらゆる手を尽くす責務がある。
|