'12/2/23
ギリシャ追加支援 EUの真価が問われる
財政危機のギリシャに救いの手を伸ばす第2次支援策について、欧州連合(EU)のユーロ圏17カ国が原則合意した。約1カ月後に期限が迫る国債の大量償還に何とか見通しが立った。
デフォルト(債務不履行)に陥り、世界経済へ累を及ぼす最悪の事態は回避されそうだ。一時は協議が迷走し緊張も走ったが、ひと息ついたといえよう。
とはいえ、これで問題が収束したわけではない。
ギリシャ国民にとって、かなりの「痛み」を伴う財政緊縮策が待っている。民意はどう受け止めるだろう。4月に総選挙を控え、政権の行方にも不透明感が拭えない。額面通りに財政改革が進むかどうか、疑問が残る。
EUと国際通貨基金(IMF)が今回、1300億ユーロ(約13兆7千億円)の追加支援と併せてギリシャ財政の監視強化を条件にしたのもその懸念からだろう。
現地に監視役を張り付け、債務返済を優先するよう予算執行まで見守らせるという。見方によっては内政干渉と受け取られても不思議ではない。
支援する側の視線は、それほどに厳しさを増している。
今回の支援策が合意までに7カ月を要したのもギリシャへの根強い不信感が壁になったようだ。
昨年5月の第1次支援で1100億ユーロをつぎ込んでもらいながら、約束の財政再建を軌道に乗せられなかった。当初1090億ユーロの予定だった第2次支援額も改革の遅れがたたり、約2割増しに。
追加負担がずるずる膨らみ続けるのではないかと、ドイツなど財政が比較的安定している国々は懸念を強めている。これ以上の足踏みは許されまい。
一方で、ギリシャ国民の間では「お荷物」扱いされ続けることに不満感も高まっている。底が見えない不安から、デモや労働組合のストライキが繰り返され、混乱は収まる気配を見せない。
追加支援と引き換えに、国民生活へのしわ寄せはさらに厳しいものとなる。最低賃金は2割引き下げられ、増税や年金カットも避けられそうにない。リストラで失業率が急上昇するなど、経済の縮小が依然続いている。
「制度は変化しなければならず、時代に適応していかなければならない」。欧州統合の父と呼ばれる元国際連盟事務次長ジャン・モネ氏の遺訓という。
通貨統一にとどまらない地域の統合を目指すEUの真価が問われている。
経済的に弱い国の離脱を食い止め、欧州全体で危機を乗り切る腹をくくるのかどうか。だとすればこの際、財政を含む政治統合という一段上のステージを視野に入れるべきだろう。
債務危機に陥った国に融資する金融の安全網「欧州安定メカニズム」が今年7月に設けられる。ユーロ圏という壮大な「制度」の安定に向け、土台を確実に固めていってもらいたい。






