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二十年余りも前のことだ。国民的な人気を集めたテレビドラマ「おしん」。ヒロインをいじめ抜くしゅうとめが佐賀の人という設定に、当時の県知事が「イメージダウンになる」として、NHKに名誉回復を求めたことがある。番組の特集記事で「佐賀の乱」と紹介された▲船場吉兆の牛肉産地偽装に絡み、但馬牛に比べ佐賀牛が「遜色(そんしょく)ない」と言われたのに対し、県が猛反発。幹部らが先週、会社に認識を改めるよう申し入れたという報道から、おしんの一件を思い出した▲今回の抗議は、日本食肉格付協会の統一基準に厳密に照らし、佐賀牛の高品質を強調している。説得力は十分だし、引き合いにされた産地の気持ちは分かるが、過剰反応ではという印象も残る▲厳密な立論は佐賀人の気質かもしれない。明治新政府で活躍した江藤新平や副島種臣をはじめ論客がそろう。二人は政略にたけた薩摩の大久保利通らとの政争に敗れた後、民撰議院設立建白書に署名する▲国会開設運動を通じ政党の指導者となった大隈重信も一度は下野しながら、政界に復活し、内閣を二度組織した。一九二二年の国民葬は、同じ年に営まれた長州の山県有朋の国葬をはるかに上回る参列者だったという▲江藤は、本当の佐賀の乱で処刑され立論を貫けなかったが、大隈の粘りが光る。おしん並みだ。今夏、甲子園を沸かせた高校野球の決勝。わが広陵を相手に佐賀北が見せた粘りは、悔しいが論じるまでもない。
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