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行く手には高齢者という小さな船。新医療制度にあえぎ注意信号も発している。それなのに自動操舵(そうだ)で気付かない。まるでイージス艦のような政治という船が進む。日銀人事もガソリン暫定税率も、思うに任せないのは相手が悪いと言いたげだ▲衆院山口2区補選で、民主党候補に敗北した福田政権である。司令官自ら舵(かじ)を取り、波をかぶってでも進路を変えるような指導力は見えてこない。「これでは、とんでもない災難にぶつかりかねない」と、乗船している有権者が危機感を抱いても仕方あるまい▲山形市で最近、五十八歳の男性が八十七歳の母親と無理心中する事件が起きた。男性は入退院を繰り返す母の看護に手が掛かり働けなくなった。追い打ちをかけるように七十五歳以上の後期高齢者医療制度がスタート。母の保険料まで払えないと思い込み悲劇を招いた▲免除されるケースなのに男性は知らなかったようだ。年金から天引きの人には市から通知が届くが、免除対象者には知らせがなかったらしい。十分な説明があったらと悔いが残る▲補選では「お年寄りの反乱」が決め手となったともいわれる。敗北の衝撃からか、福田康夫首相は見直しがいる点などのチェックを指示した。舵を切るのなら、ちゃんと方向を見定めてからにしてほしい。
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