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朝青龍 '09/1/26

オオカミは臆病(おくびょう)だ。まず人を襲うことはない。日本では江戸時代まで、田畑を荒らすシカやイノシシを退治してくれる守り神でもあったという。モンゴルの英雄チンギスハンは始祖伝説に出てくる「蒼(あお)いオオカミ」の子孫を名乗った▲モンゴル人横綱同士の一騎打ちとなった大相撲の千秋楽。優勝決定戦までもつれ込み、三場所連続の休場から土俵に戻った朝青龍関が賜杯を奪い返した。見事な復活劇というほかない▲場所前は引退の予感さえあった。その逆境をはねのけての十四連勝。いつもの場所に比べ、言葉数が少なかったようだ。優勝インタビューでやっと満面の笑みと涙を解禁した。両腕を突き上げ、「朝青龍、また帰ってきました」。集中力をじっと研ぎ澄ましていたのだろうか▲「らしさ」もよみがえった。先手、先手の取り口で攻め立てる。つんのめったところへ、とどめの張り手。立ち合いにも、鬼神を思わせる気迫がみなぎった。「狼藉(ろうぜき)」と紙一重のスタイルも、型破りの横綱相撲なのかもしれない▲本名のドルジは「誰にも負けない」の意味。ライバル白鵬関に寄り倒された結びの一番で、持ち前の負けじ魂が奮い起こされたのだろう。青と白のオオカミ横綱がぶつかる来場所が待ち遠しいのは、気が早すぎるか。




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