「民活」リスク 浮き彫り
広島市、問われる対応
【解説】商業施設を備えた複合型オープン球場を整備する東広島駅貨物ヤード跡地(広島市南区)の活用策が、夢と消えた。採算性が最大の判断基準となる「民活」のリスクが、あらためて突き付けられた。今回の事態を、行政が民間の知恵と資金を活用するための教訓とできるかどうかが、跡地利用を再検討する出発点にもなる。 (城戸収)

広島市に事業化の断念を伝えた後、会見するエンティアムの住沢代表代行(右から2人目)や阿南広島東洋カープ常務(右端)たち
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日米企業体「チーム・エンティアム」が計画を断念した最大の理由は、企業体の核である米国の商業デベロッパーが地方都市への進出に「ノー」と判断した点にある。
事態が行き詰まる中、エンティアム側は今夏ごろから、球場の先行整備などの打開策を水面下で市に打診。市は、商業施設を併設するエンティアムの提案をコンペで選んだだけに、突っぱねるしかなかった。
採算性をにらみつつ球場を実現したい「民」の考えと、公平性の担保を責務とする「官」の論理との違いが、事業着手直前の白紙撤回をもたらしたともいえる。
ただ、跡地開発を民活に賭けた時点で、リスク回避を妨げる国の規制が存在する現状を考えると計画が立ち行かなくなる事態は、あらかじめ想定された。
例えば、跡地の貸し付け問題。現行制度では市土地開発公社が所有する跡地を民間に貸す際、市が跡地を買い取る必要がある。国の構造改革特区募集に、公社から民間への直接貸し付けを提言した市の案は認められなかった。こうした規制は、民間の投資意欲やタイミングを逸する要因になってはいないだろうか。
財政難にあえぐ地方自治体にとって、民間資金導入の視点は今後も必要となる。その点で今回、市による市民への経過説明不足は否めない。市民のアイデアも、欠くことのできない「民活」ではないだろうか。
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期待裏切る/責任は重大/遺憾だ
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行政や経済界 広がる波紋
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東広島駅貨物ヤード跡地の再開発事業の白紙撤回は、市をはじめ、広島県や経済界にも波紋を広げた。
跡地活用を最初から練り直す姿勢を表明した秋葉忠利市長は、日米企業体「チーム・エンティアム」に対して「多くの市民の期待を裏切る結果になった。責任は重大」と語気を強めた。具体的追及策には触れなかった。
行政責任に関し、秋葉市長は「今後の方針を冷静に検討することで市民への責任を果たしたい」として「民間の資金、アイデアを生かす方向を探る」と引き続き民間活力を基本に、跡地利用を図る方向性を打ち出した。
広島県は、広島都市圏の核となる再開発構想と位置付けていただけに、驚きや今後への懸念を隠せない。坂本孝之都市局長は「JR広島駅周辺の再開発の起爆剤にと期待していた。厳しい経済状況下で民間の力を活用する点も注目していた。広大な未利用地活用が遅れるのは残念」と語った。
広島商工会議所の池内浩一会頭は「大きな計画の挫折は遺憾に思う。市民感情としても寂しい限り」としつつ、「市民からの声などで、あらためて計画がまとまれば、応分の協力はしたい。官民が知恵を出し合う必要がある」と述べた。
(03.12.2)
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