懸案となっている東広島駅貨物ヤード跡地(広島市南区)の活用 策に方向性が見えてきた。広島商工会議所など経済四団体が新球場 の建設を提案したのに加え、広島東洋カープが検討している天然芝 の複合型オープン球場案が有力案として急浮上してきたためだ。 オープン球場案が、はっきりした財源に裏付けされた成案となる かどうかはこれから。だが、ネックとなっていた多額の公共負担を 避け得る案として魅力度は高い。カープ球団の努力を見守るととも に、よりよい施設に向けて市民も一層の知恵を出し合いたい。 先日あった広島市議会都市活性化対策特別委員会では、ヤード跡 地の中核施設として過去二年間の論議をとりまとめ、ドーム球場▽ 開閉式屋根架け球場▽天然芝の複合型オープン球場▽にぎわい施設 ―の四案について委員がそれぞれ意見を述べた。一本化はできなか ったが、支持が多かったのはオープン球場案。二十二日に予定され ている六月定例会での委員長報告は、こうした意見が報告される見 通しだ。 オープン球場案が表面化したのは昨年末の委員会で、それまで論 議されてきたドーム球場や開閉式屋根架け球場について、市が建設 ・運営に各約百二十億円、百四十億円の財源不足が生じる、との試 算を明らかにしてから。不足分は公共負担が見込まれるとあって、 選択肢を広げることが迫られた。 一方、自前の球場が夢だったカープ球団は大手広告代理店と一緒 になって、大リーグタイプのボールパークと呼ばれるレトロ調のオ ープン型で、商業施設と一体になった複合型球場なら採算がとれる との案を示した。天然芝なら選手にも優しいし、商業施設で家族も 楽しめるとの計画だ。この場合、建設費は約二百七十億円だが、球 団を中心に複数の民間事業者が事業会社をつくって建設・運営に当 たり、財源不足は生じないという。 とはいえ現段階では球団案も机上のプラン。本当に二百七十億円 もの資金調達ができるかどうか裏付けは明確でない。委員会でも質 問に対し、市は「採算性の確認に努めている」と述べるにとどまっ た。球団の積極性を歓迎し、かたずをのみながら具体化への努力を 見守っている格好だ。 市が広島市の新しい顔づくりの中核地の一つにと国鉄清算事業団 から、ヤード跡地十一・六ヘクタールを約百十億円で購入したのは 三年前。現在、毎年二億六千万円の利子を払っている。 市民の間には今も「百年の大計を考えれば、中途半端なものをつ くるべきではない」「本当に新球場が必要なのか」といった根強い 疑問や論議がある。しかし、地域にとって貴重な資源≠ナあるカ ープが、主体的に街づくりにかかわろうとしている。家族で楽しめ る施設づくりへ、市民も共に考えたい。 (01.06.02) |