サービスに工夫の余地
広島市東区の市立広島商高商業研究部は、七月末にあった広島県研究発表大会のテーマに、「広島の街や市民とカープのかかわり」を選んだ。昨年球団で職場実習した先輩から、「サービスに工夫の余地がありそう」と聞いたからである。
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アンケートや福岡取材でカープの集客作戦を練った市立広島商高の商業研究部
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まず、全校生徒にアンケートをした。回答者の七割が好きな球団にカープを挙げた。しかし、市民球場へは「行かない」が半数以上、「年一、二回」と合わせると七割に。「街ぐるみで応援していると感じる」とした生徒は27%にとどまった。
「ファンサービスの前に、街とカープが離れている」と考え、部員六人は福岡市を訪ねた。夜行バスを降りると、駅、地下街と至る所にダイエーホークスのポスターがある。日程や球場への道順もすぐ分かる。企業や市の印刷物にも選手の顔やキャラクターがあふれていた。
ホークス手本に/八回以降無料/ファンクラブ拡大/応援バスを
感心したのは「勝ったら企画」。著作権使用料なしの加盟店が、ホークスが勝ったら「○%引き」「一杯無料」のようなサービスをする。球団にとっては自前では到底及ばないPRができる。九州、山口で三万店を超え、「街ぐるみ」の印象に貢献していた。
生徒たちは一九七五年のカープの初優勝時、街中が赤で埋め尽くされたのを知らない。二年石田恭平さん(17)は「自然に視野に入ってこないと、ここに本当にカープがいるのか分からない。まず街の雰囲気をつくるため、ホークスを手本にチャレンジしてはどうか」と提案する。
西区の女性会社員(36)は「ファンクラブが集客に結びついていない」と嘆く。カープはジュニアとレディースの二本立て。定員があるとはいえあまりにも格安でもったいない。そのうえ、他球団のような大人向けや人口の多いシニア向けがない。
「年一万円で五試合」「家族や夫婦の割引」「月二回、千円の日」と行きやすい料金制度のアイデアは多い。「七回終了後の無料開放を」と岡山市の会社員川岡哲夫さん(32)。「九回二死からドラマは待っている。オフィス街のど真ん中にある利点を生かせ」
交通手段への要望も根強い。市民球場が都心にあっても公共交通機関に連動していないので、泣く泣く「途中退場」するファンも多い。鉄道系の西武や阪神はもちろん、ホークスの試合が終わればかつて球団を身売りした西鉄も臨時バスをどんどん出す。広島県久井町の会社員坂根義己さん(39)は「大まかな地域ごとに、入場料込みで大人五千円、子ども二千円程度の応援バスが出せないか」と望んだ。
カープとサンフレッチェのファンクラブ カープのジュニア(5000人)は年間2300円で外野自由席フリー、レディース(3000人)は3600円で年20試合見られる。観客数が低迷しているが、双方ともこの数年すぐに札止めの人気。しかし、記念品目当てで一度も球場に来ない会員もおり、集客策よりサービスの性格が強い。
これに対しサッカーのサンフレッチェ広島は、集客の柱を後援会とファンクラブの会員増に置く。この3年で会員は3倍増。観戦に行くほどポイント加算され、入場券やグッズに換えられる。
2年前からカード式にし、会員を「個」で把握できる。両組織の計約1万5000人のうち、3500―4000人は毎試合来ている。女性客が少なかったため、子ども向けサービスに力を入れたところ、女性会員がこの1年で6ポイント増えた。
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存続へ 熱い思い次々 ―メールなど200通
プロ野球界に一リーグ制移行の構想が唐突に浮上し、およそ一カ月になる。中国新聞社には、地元・広島東洋カープの将来を案じる電子メールやファクスが続々と寄せられ、十日までに二百通を超えた。球団や選手への激励、叱咤(しった)、提言…。そのどれもに、カープ存続への熱い思いがこもる。
カープは十二年間リーグ優勝から遠ざかり、観客動員も昨季は主催試合で十二球団で唯一、百万人を割るなど低迷が続く。地元密着、独立採算制といったユニークな存在も、福岡ダイエーホークス、北海道日本ハムファイターズの誕生や、新ドラフト、フリーエージェント制による選手の年俸の高騰が響き、輝きを失いつつある。
寄せられた声は関東から九州に及び、その多くに「球界再編論がどう決着しようと、このままではカープの将来はない」との危機感がにじむ。十枚を超えるリポートも交じり、カープの存在の大きさが伝わる。最近はふがいない戦いぶりに、采配(さいはい)や選手起用への疑問も増えた。
ファンサービスの充実や街ぐるみの応援で球場をいっぱいにしようという集客作戦、新球場実現への知恵、かつてのたる募金の流れをくむファンの参画手法、すそ野を広げるためのフランチャイズ拡大、そして球団や選手への熱い思い。カープ存続のため、居ても立ってもいられないファンの代表的な声を、きょうから五回に分けて届ける。
2004.8.11