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広島市中心部から北西に約八キロ。安佐南区沼田町の市営陸上競技場「広島ビッグアーチ」は、十二月二十七日にあったアマチュアサッカー大会で、昨年の営業を終えた。この一年の利用日数は八十二日。管理する市スポーツ事業団の清水〓(ただし)常務理事(57)は「営業努力をして、少しでも収入を増やさないと」と、自らに言い聞かせる。 一九九四(平成六)年十月の広島アジア競技大会のメーン会場となったビッグアーチをはじめ、隣接する球技場やテニスコートなどの年間維持費は、合わせて約五億円。それに対し、使用料収入は一億弱にとどまり、不足分は市の一般会計の負担になっている。
追い討ちをかけるような事態が昨年末、起こった。Jリーグ・サンフレッチェ広島が、今年の主催試合の半分程度をビッグアーチから、収容能力の小さい西区の県営広島スタジアムに移す意向を伝えた。使用料が四分の一と安いのに加え、空席の目立つビッグアーチは、ファンと選手の双方に「一体感が薄い」と不評なのだ。 「球団の要望もあり、一億円で昨年、フィールドの芝を全面改修したのに・・・」。ビッグアーチ使用料の半分以上を占める、サンフレッチェに敬遠された清水常務理事の口調は重い。 競技施設、新交通システム「アストラムライン」、関連道路の整備・・・。アジア大会へ向け、市は約三千億円を投じた。不況に直面した今、その巨大な投資が財政を圧迫し始めている。 本年度の起債残高は七千八百億円余りと、十年前の二・四倍。公共施設の維持管理費も大会前の一・五倍の年間百十億円に膨らんでいる。だが、伊藤利彦財政局長(59)は強調する。「背伸びをしたとは思わない。大会を機に、遅れていた都市基盤整備が進んだ」 半面、大会で掲げた「アジアとの相互理解」が、市の側から揺らぎ始めているのも確かだ。広島県との共催で八年続けた「広島アジアウィーク」を昨年、五百万円の経費節減を理由に中止した。「アジア大会も、しょせん一過性のイベントにすぎなかったのか」。市職員からも冷ややかな声が漏れる。 拡大の時代終えん 「市民に感動を与えるイベントを続けるには、どんどん肥大化していかなければならない。拡大・拡張の時代には有効だが、今のような成熟・凝縮社会で、都市の成長にどう結び付くかは、よく分からない」。今期限りで引退する平岡敬市長(71)は、イベント行政の限界を実感する。 広島市にとどまらず、イベントの後始末に悩む自治体は多い。九七年に境港市で「山陰・夢みなと博覧会」を開いた鳥取県もその一つ。博覧会は成功したものの、県が跡地に四億円をかけて五月に整備した「夢みなと公園」は、年間維持費が一億二千万円もかかり、赤字は確実だ。 中国地方の市町村長アンケートでは、地域活性化策として二八・一%が「自然や環境を生かした地域づくり」を挙げ、最も多かった。ビッグイベントを活性化や基盤整備の切り札とする都市づくりの手法は、曲がり角に差し掛かっている。
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