中国新聞社

'99.1.4
言うはやすく (2)
予算削減 中規模道から生活道には政治的配慮

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 新年度予算案編成の大詰めを迎え、広島市の小田治義道路交通局長(55)の表情はさえない。「今年は本当に厳しい。これほど道路予算を減らされるのは、初めての経験」。財政難の中、公共事業の二〇%カットという方針があるからだ。本年度、公共事業費の四割にあたる八百億円を計上した道路も、例外ではない。

 「聖域」ついにメス

 「もちろん、削減しなくてはならない。だが、言うはやすく・・・ですよ」と小田局長。基盤整備の遅れた市にとって、半ば「聖域」だった道路予算にメスを入れる苦悩がのぞく。

 市域の半分を占める安佐北区。道路改良率は五七%と、中区の九二%に比べ大きく遅れている。そんな事情を抱える区も、二〇%カットの直撃を受ける。「区の公共事業費の六割が道路。予算の削減は、まちづくりにも影響が出かねない」。加藤純久区長(55)も頭を痛める。

 国道54号が南北に走る交通の要所・可部地区と、ニュータウンの高陽地区を結ぶ全長五・一キロの都市計画道路「高陽可部線」の整備も、ペースダウンする可能性が強まっている。

 幅約十六メートルの高陽可部線は五年前、高陽側から二・三キロの地点まで開通した。その先、車は従来の幅十メートルほどの県道に流れ込み、渋滞が絶えない。可部町商工会の二井谷静夫会長(77)は「地域にとって必要な道路。早く全線開通させてほしい」と訴えるが、完成のめどは立っていない。

 重点施策の一つである都市高速道路や、身近な生活道路の予算は削らないが、高陽可部線のような中規模幹線道路は思い切って削る―。それが市の方針だ。道路予算の約三分の一を占める生活道路に手を付けない理由を、平岡敬市長(71)は「道路を造る零細な建設業者への景気対策の意味もある」と説明する。

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財政局の予算編成会議。公共工事の削減などに向け、懸命の査定が続く(昨年12月24日夜、広島市役所)
 優先順位見極めを

 だが、それだけにとどまらない。四月に行われる市議会議員選挙も背景にある。市議にとっては、幹線道路より地元密着の生活道路の方が「自分の仕事」にしやすいのだ。市議の一人は「選挙前になると、『うちの前の道を』などの要望が増える。地域の代表としては、市に無理を言わざるを得ない」と明かす。

 政治的な配慮もにじむ生活道路の整備費に対し、道路交通局の職員が漏らす。「市全体の発展を考えたら、中規模幹線道路も重要。客観的に事業の優先順位を見極める必要がある」

 中国地方の自治体アンケートでは、財政再建の方策として、住民に身近な単独事業の抑制を挙げた市町村長は五二・五%に上った。だが、議長は三六・五%にとどまり、温度差は大きい。また、市町村長の一四・一%が「地元への利益誘導で議会が圧力をかける」と答えるなど、公共事業カットが一筋縄ではいかないことをうかがわせる。

 意識改革まず必要

 昨年のクリスマスイブの夜。市財政局の職員が、市役所十四階の会議室に集まった。五日から始まる各局との復活折衝へ向けた作戦会議。「復活財源はありません」と出席者の一人。残り九十四億円となった基金を全額取り崩し、予算案の枠組みを作ったからだ。

 予算圧縮の方針にもかかわらず、各局が財政局に提出した要求を合計すると、歳入見込みを三百億円以上もオーバーしていた。「例年なら一回で済む財政局の査定を、もう一度やり直した」と伊藤利彦財政局長(59)。右肩上がりで膨らんできた予算の削減へ向けては、各部局の意識改革も求められている。


自治体クライシス



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