| ある中学校の現場から |
「一緒に頑張ろうや・・・」 |
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「よそのクラスは静かにしてるんよ。迷惑でしょ」。足立がため息交じりに言うと、初めて反応が返ってきた。「先生の金切り声の方がメーワク」。「とにかく、前を向きんさい!」。「ぼくらの基本的人権を尊重してほしいよね」。会話は擦れ違うばかりだ。 その時。学年主任の岸本直樹(45)が、後ろの扉から教室をのぞき、「おはようございまーす」と子供たちに声をかけた。静かになったのを見届けて、岸本は笑顔で帰って行った。毎朝、廊下のごみを拾うふりをしながら、教室の様子を見にきてくれる。さりげない支えがありがたい。心強いと、足立は思う。 初めての担任。現実はドラマや小説のようにはいかない。でも、あきらめたくない。一人ひとりと向き合いたい。逃げ出したい時は、あるけれど。
再び拾い上げて、足立が言う。「一緒にがんばろうや…」。そして、彼の肩に手を乗せた。少しの沈黙の後、彼はおもむろに顔を上げ、テストに向かった。足立の顔がほころぶ。ほかの子供たちが、ほっとした表情になった。
(文中仮名。写真と本文は関係ありません)
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