'99. 9. 8
 ある中学校の現場から

 先生の母 

夢実現の娘 見守る日々


(7)
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 足立亜衣(27)の母小夜子は、あの日の娘の姿を忘れない。同期の村上直美(27)が担任になり、足立は副担任になることが決まった日のことである。帰宅するなり、娘は涙をポロポロ流して泣いた。「長い人生、どうってことないじゃない」。そんな言葉しか、かけてやれなかった。

 「元気で、正義感の強い子でした」。小夜子は、幼い日の娘を思い出す。クラスにいじめがあると、解決に向けて奔走する子供だった。厳しく育てた自負はある。でも、押し入れで反省させても、ぐうぐうと眠る始末。「出て行きなさい」としかると本当に出て行ってしまう。負けず嫌いな性格は、当時からしっかり備わっていた気がする。

 教師を志した娘は、採用試験に二度失敗しても動じなかった。絶対に教師になると決めていた。合格通知が届いた日、娘は大喜びで職場に電話をかけてきた。「受かったよ!」。その後、父の職場にもかけたらしい。「うれしかったんでしょうね」。あの弾む声を、小夜子はしっかりと覚えている。

登場人物
 今年、初めての担任を持ち、毎日ぐったりして帰宅する足立。ドアを開ける音や、「ただいま」の声で、小夜子には娘の心模様が分かる。「今日は元気だな」「あれ、落ちこんでいるな」―。何でも話してくれるから、教室での様子は想像がつく。「私の気持ち、子供に伝わらんのよね…」。娘のつぶやきを、母は黙って聞いている。

 何もしてやれないもどかしさを感じる。でも、本当に落ち込んでいる時は、こんな言葉が出てしまう。「あんなに、担任になりたかったんじゃない。なれなくて、泣いていたじゃない」。苦労も、いつか笑顔に変わると、母は信じている。

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

<教師アンケートの回答から>
 悩みを相談する人は? 同学年の先生。どの程度話したらいいのか、どんなふうに話したらいいのか悩むが、子どもの顔を知っているので話す。でもすべて話すわけではない。ベテランの先生でも悩みを話してくれると、こちらも打ち明けやすいのだが…(24歳 小学・女)


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