'99. 9.10
 ある中学校の現場から

 バランス感覚 

付き合い上手だけど…


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 自分はなぜ教員に採用されたか。中国新聞社アンケートの問いかけに藤田大介(26)はこう答えた。「バランス感覚!」。

 大学時代からの親友、近藤健太はこう証言する。彼も教師である。

 自分は保護者との対立が絶えないが、藤田は上手に関係を築いている。大学でもリーダー的存在だった。先生から頼られるのも藤田。感情を顔に出さず、人を批判することもない。人付き合いのうまさには脱帽すると、近藤は強調した。

 持ち前のバランス感覚を裏付ける、こんな話もある。昨年、ある先生が病に倒れ、藤田がクラス担任を任された。学年も半ば。早く子供や保護者と人間関係を築かねばならない―。藤田は、こだわりの長髪をばっさり切った。「個性だと認めてもらうには、時間がかかるから」。ヘアスタイルを変えたのは、後にも先にもこの時だけだ。

登場人物
 一見、順風に教師生活を送る藤田。実は、苦しみもある。今年から、専門外のバスケットボール部の顧問になった。休みも返上し、試合に付き添う。「いけ!打て!」。威勢はいいが、どこか指導がぎこちない。作戦を練るためにタイムアウトを取ったが、選手たちは経験豊かな先輩教師の方に群がる。こればかりはバランス感覚も通用しない。経験を重ねるしかない。

 さらに心が痛むのは、ある女子との関係。話しかけても「フン」という感じ。露骨にいやな顔をされる。相性が悪いのか。とにかく、女の子同士でトラブルが起こった場合は、中立に話を聞こうと努めている。「どんな教師でもさ、異性との関係は難しいんよ」。近藤に励まされた。根気強く見守ろうと、藤田は思っている。

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

<教師アンケートの回答から>
 辞めようと思った時は? 子どもと信頼関係が結べず、子どもから教師であることを拒否された時。いじめあり、暴力ありで青あざをいくつもつくられた。当時の子どもたちと楽しい一年を送れなかったことを申し訳なく思う。(50歳 小学・女)


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