'99. 9.12
 ある中学校の現場から

 クラブ活動 

猛練習重ね 心一つに


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 広島市であった中学校吹奏楽部の広島県大会。中国大会への切符は逃したが、昨年に続いて金賞を射止めた。「練習でしてきた最高のものが発揮できた。だからおれは満足だ」。顧問の河野明彦(29)が、涙ぐむ部員たちに語りかけた。

 その二週間前。中国山地の山あいに合宿中の吹奏楽部を訪ねたところ、あるトラブルに出くわした。

 午後からの練習を前に、トランペットを担当する三年生の山本さんが急きょ、離脱することになった。それまで、痛めた首の無理を承知で、練習を重ねていた。放っておいたら、後遺症が残るか分からない。「みんなの足を引っ張っても…」。山本さんの申し出に、自身もトランペットが専門だった河野は、重い決断をした。

 どう子どもたちに切り出すべきか―。河野は、いつもと同じ口調で、パイプいすに深く掛けるいつもの姿勢で、ゆっくりと語り始めた。そして「彼女の分まで頑張ろう。全員の心が一つになるように」と締めくくった。

登場人物
 長身で角刈り、いかつい顔の河野。そのまぶたに光るものがあった。以来、一日十時間を超える猛練習に、部員たちは全力を傾けた。「メンバーの心が一つになった時、力は何倍にもなるものです」

 中学教師にとってクラブ活動の負担は大きい。ソフトテニス部の足立亜衣(27)、バドミントン部の村上直美(27)の二人も「こんなに時間を取られるクラブなんて…」と思う時もある。

 でも、河野に限らずクラブは教師と子どもたちの人間関係をつくるチャンスである。「せめてワンフレーズでも…」。そう願った河野は、山本さんを演奏会のステージにあげた。

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

<教師アンケートの回答から>
 学校制度の改善点は? 今の部活動のあり方には疑問を感じる。できるだけ教師の手から離れた部活へ移行していく必要がある。(43歳 男・中学)▽学習意欲のない子が、自分のやりたいことを見つけられる施設や制度があってもいいのでは。(37歳 男・中学)


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