| ある中学校の現場から |
慣れたころ「さよなら」 |
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およそ三年間、谷は臨時採用教員として、この学校に勤めた。短大を卒業後、毎年のように採用試験に臨むが、壁は厚い。今年も合格通知は届かなかった。九月、産休を取っていた美術教師が復帰する。谷の身の振り方は決まっていない。 「この時期に、学校を去るのはつらいです」。せみ時雨を聞きながら、谷は笑ってみせた。今年は一年生の担当。個々の性格や癖や持ち味を、やっとつかみかけた。これからなのに―。谷の顔から笑みが消える。 「優しくて、お姉さんみたいな先生が好きでした」。生徒から贈られた、寄せ書きの言葉。でも、赴任直後はつらくて泣いた。褒め方がわからない。しかり方も分からない。距離が縮まらず、右往左往した時代。最近やっと、自然体で向き合えるようになったと思う。
「もう会えんの?」。夏の終わり、谷を囲んで、部員たちが聞く。「文化祭、見にくるから」と約束した。部活が終わっても、子供たちは帰ろうとしなかった。
(文中仮名。写真と本文は関係ありません)
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