'99. 9.16
 ある中学校の現場から

 教育実習 

がむしゃらさ 周り刺激


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 新学期。狭き門の教師を目指し、十一人の大学生が母校にやってきた。茶髪を真っ黒に染め直し、着慣れぬスーツに身を包み…。緊張感の中、二週間の教育実習は始まった。

 「技術」の坂井君は、初日のホームルームから子どもたちに溶け込もうと必死だった。「名前を早く覚えたいので、みんな目立った行動を取ってね」。そんな発言も飛び出した。

 授業は、木材を使った新聞ラックづくりを任された。「見本」を作ろうとしたが、大学の研究室に持ち帰り、徹夜になった。

 「とにかく理想は高くもってもらいたいですね」。坂井君の指導教官になった一年五組の三好鉄矢(29)は、こう語る。座学よりはモノづくりを大切にする授業を目指している。

 大学時代、三好はある研究をした。「技術における男女差」。一年間、学校に入りこみ、授業中の子どもたちの行動を、男女間で比較した。のこぎりの使い方、教室内の歩き方…。差はほとんどなかった。

登場人物
 だが、現実は―。目の前の受験にばかり、目を取られがちな子どもたち。くぎとねじの区別さえできず、一生懸命に金づちでねじをたたく子どもの姿も。そんな子どもたちにどう興味を持たせるか―。悩む日々でもあった。

 坂井君は、夏休み中にあった教員採用試験に落ちてしまった。「先生をずっと目指すべきかどうか」。教育実習まで迷っていた。でも、三好の授業を見ながら決意は固まった。「やはり、先生しかない」

 一方、教員五年目の三好にとっても、がむしゃらの坂井君の姿は初心に戻るきっかけにもなったという。

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

<教師アンケートの回答から>
 校長を辞めたいと思ったのは? 生徒や教師とじっくり話す時間がない。問題が起きた時、子どもを放ったらかしにして、知らぬ顔を決め込む保護者の協力を得るのは難しい。(58歳 中学・男)▽次々に「問題行動」が起こり、自分の力のなさを感じた時(59歳 中学・男)


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