| ある中学校の現場から |
「心は必ず生徒に届く」 |
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先生は毎日、私たちに日記を書かせた。喜びも悩みも日記にぶつけ、先生からの返事が楽しみだった。クラスの成長を、先生はせっせと学級通信につづった。今の自分に通信を書く余裕すらない。追い付く日が来るのかと、足立は思う。 矢口も、足立のことを鮮明に覚えていた。忘れられぬ出来事があった。男子にいじめられ、泣いている女の子を見て、足立は言った。「学級で話し合いたい。先生、時間をください」 足立が、臨時のクラス会の司会を務めた。勇気を出して気持ちを話してと、女の子を励ます。「悲しくて死にたいと思ったこともあった…」。女の子の言葉にみんなが泣き出した。いじめは本当に消えた。子供の力に、ただ圧倒された。 足立が思い出してくれるのはうれしい。が、自分は決して順風だったわけではない。試練はあった。教師をやめることも、考えた。
人生で最も苦しかった一年。でも、子供を好きでいようと念じ続けた。次第に生徒たちは自分を受け入れるようになった。巣立ちの時、成長ぶりに涙が出た。あの感動が今の自分を支えている。心は、必ず伝わる。 「足立さんは、いい教師になる」と矢口は信じる。もし彼女が自信を無くしているのなら、いつかこの体験を話してみようかと思う。
(文中仮名。写真と本文は関係ありません)
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