| ある中学校の現場から |
登山で自信つかんで |
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その三年生の母親は毎朝、「休ませてください」としか言わなかった。「そうですか」。深入りを避け、担任に事実だけを伝えていた小林は、その子が塾には通えることを知った。 「先生と一緒に山に登ってみないか」。小林の申し出に渋っていた彼も、別のクラスの友達と一緒ならと、鳥取県の大山登山を決意した。 小林は教員になって山登りを始めた。悶々(もんもん)としていた若手時代、先輩に誘われたのがきっかけだった。北海道から九州までのほとんどの山を制覇した。自分がつかんだ自信を、彼にもつかんでほしいと思っている。 不登校の問題は、生徒指導の中でも一番難しいと言われる。同校でも常時十二、三人の子どもたちが門をくぐれないでいる。ニ年目の藤田大介(26)も、頭を抱える。一ヶ月に二、三回は自宅に出向いているが、本人にはまだ、一度も会えないでいる。「せめて顔を見たい。そして話をしたい」。藤田はそう語った。
先日出されたPTA新聞。「不登校児よ、ケセラ・セラ。そんなに片意地はらずに…」。母親たちのそんな独白も並ぶ。その中で、小林は述べている。「思春期特有の心の問題を、学校、家庭が連係して取り組んで行きたい」と。
(文中仮名。写真と本文は関係ありません)
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