'99. 9.21
 ある中学校の現場から

 学年通信 

成長願う思いを託して


(19)
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 ほうきを片手に、毎朝、一年生の各教室をのぞいて回る岸本直樹(45)には、学年主任としてもう一つ欠かさないことがある。「口下手だから、生徒への思いを託したまで」という学年通信の発行である。

 通信のキャリアは長い。教師になって二年目、先輩をまねた。名前は「がんばる」。子どもたちの考えを入れながら、いかにやる気を起こさせるか―。ガリ版刷りだったが、休日を除き毎日出した。親子の共通の話題づくりの手助けになれば、そんな思いでいっぱいだった。

 今の学校には十一年前に赴任した。荒れていた。だから、できることは何でもした。子どもたちの様子を伝えようとした。自分のクラスを教える同僚たちから、子どもの授業風景を聞き出し、逐一通信に載せたりもした。

 通信の名前も変えたことがある。荒れこそ治まっていたが、不登校児が急増した。「がんばる」だけでは、だめなんだ。クラスの「すくらむ」が大事なんだ。そう思ったからだ。

 担任を離れた今年、学級通信は学年通信に変わった。一学期だけで、六十一号に。夏休み中も全員に通信を出した。「二学期に向けてレッツゴー」「始業式には元気に登校してね」。はがきに印刷した。

登場人物
 なぜ、通信にこだわるのか―。生徒の心が、少しずつでも育てばいい。「ほどほどのぬくもりですかね」。岸本は、あくまでも手段の一つと考えている。

 四組の足立亜衣(27)。一学期に一度も通信を出せなかったけど、気にすることはない、と岸本は言う。

 たかが学級通信、されど学級通信。教師生活二十四年の岸本が、これまでに発行した通信は、四千百二十五号に上る。

(文中仮名。写真と本文は関係ありません)

<教師アンケートの回答から>
 学校や教師に子どもの問題を押し付け過ぎか? そう感じることもあるが、ほとんどの保護者は子育てに真剣。教師は親や生徒のせいにするが、逆のケースでもうまくいかない。やはり教師、生徒、保護者の三者がスクラムを組むことが大事。(40歳 中学・男)


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